過失相殺

赤信号進入の救急車と青信号進入のクルマとの優劣は?

  • 更新日:2024.10.17
  • 投稿日:2016.4.25

赤信号進入の救急車と青信号進入のクルマとの優劣は?

救急車と事故 過失割合イメージ Question

私は昼間、クルマを運転して、北方面から南方面に向かって青信号に沿って、十字路交差点に進入しました。
すると、私の左手から、東方面から西方面に向かって赤信号であるにもかかわらず救急車がサイレンを鳴らしながら、十字路交差点に進入してきたため、出会い頭衝突の交通事故により、私はケガをしました。
私のクルマと救急車の過失割合はどうなるのでしょう?


救急車と車の交通事故 判例

救急車と事故 過失割合Answerウソみたいな設定ですが、大阪高裁2007/12/4交民集40巻6号1461頁で実際に判断が下された案件です。
クルマ・歩行者・自転車のいずれも信号に従う義務が課せられています(道交法7条)。
ですから、自分が青信号の場合、基本的に、交差道路は赤信号だから交差道路から進入してくることはないと期待してクルマを交差点に進入させてもよい状況にあります。
ところが、消防車・救急車・パトカーが緊急用務で走行している場合には、信号に従う義務が免じられています(道交法39条2項前段)。このため、緊急自動車が交差道路を走行している場面となると、例外的に、先ほどの期待をしてはいけないという状況となるのです。

救急車と事故 過失割合のイメージ

そうなると、クルマと救急車といわばどっちも信号違反なしで交差点に入ったような感じです。一体どっちが優先扱いされるのでしょうか?
救急車など緊急自動車には信号を無視して走行するにせよ他車に注意して徐行しなければならない義務が課されています(道交法39条2項後段)。
他方、クルマには、緊急自動車が交差点に接近してきたときは、交差点への進入を回避し、交差点の外に出て、かつ、道路の左側に寄って一時停止しなければならない義務が課されています(道交法40条1項)。
要するに、救急車が来ていながら交差点に進入したこと自体、緊急自動車を優先させる義務に違反したものとして、クルマの方に不利に扱われています。

救急車と事故の場合の過失割合

前記大阪高裁では、さらにクルマの運転手はわずかの注意を払えばサイレンの音により救急車の接近に気づくことができたはずだとして、クルマ7:救急車3の過失割合を認定しているようです。
そのほか大阪地裁2014/3/18交民集47巻2号348頁ではクルマ6:救急車4、横浜地判2017/2/6交民集50巻1号130頁ではクルマ10:救急車0という過失割合が認定されています。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。

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この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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