過失相殺
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過失相殺
歩行者用もクルマ用も信号機のないところで、昼間、対向1車線ずつの広さの車道を横断していた妻が前方不注視で直進してきたクルマにひかれる交通事故に遭いました。
幸い入院せずに済む怪我だったのですが、知り合いから「車道横断のときは、歩行者も過失相殺されるらしいわよ」と言われました。
大まかな割合を知りたいのですが?
歩行者が信号機のない車道を渡るときは、①横断歩道上②横断歩道付近③横断歩道のない交差点又はその直近④横断歩道が近くに無く交差点でもない位置の4類型に大まかに分けられています。
別冊判タ38号全訂5版の基本割合は次のように設定されています。
①横断歩道上【20】・・・歩行者0
なお、横断歩道から1~2m離れた場所や、横断歩道上に停止車両がいるので横断歩道上をそのまま横断できない場合には、横断歩道上と同視されます(別冊判タ16号77頁)。
②横断歩道付近【33】・・・歩行者30
横断歩道付近とは、片側2車線以上の広さで交通量が多くクルマが高速で行き来している車道の場合には横断歩道からの距離が40~50m以内の場所を、それ以外の車道の場合には横断歩道からの距離が20~30m以内の場所を指すのが妥当と解されています(別冊判タ16号77頁)。
③横断歩道のない交差点又はその直近【34】・・・歩行者20 交差点の直近とは、幅員の広い道路では交差点から10m以内の場所を、そうでもない道路ではそれ以下の範囲を指すのが妥当と解されています(別冊判タ16号91頁)。
④横断歩道が近くに無く交差点でもない位置【37】・・・歩行者20
一見すると、「横断歩道から20m離れた位置を横断している歩行者Aと、横断歩道のないところを横断している歩行者Bがいた場合、横断歩道により遠いBがより近いAよりも厚く保護されるのはおかしくない?」という疑問も浮上してくるのではないでしょうか。
しかし、法律は、歩行者に横断歩道がある場所の付近においてはその横断歩道によって道路を横断しなければならない義務を課しています(道交法12条1項)。この道交法12条1項の定めは逆に《歩行者は横断歩道付近では横断歩道を使わないと義務違反だ》という意味合いを導くのです。
ちなみに、横断歩道が近くに無い場合、歩行者はどこを横断しなければならないとまでは道交法はハッキリ命じていません。
このように②は③④に比べ、歩行者が法律が明文で定めたルール違反をしているという点が、より過失割合の斟酌では重視されているようです。
横断歩道が見える範囲ではくれぐれも横断歩道上を渡らないと同じような交通事故に遭っても補償が大きく減じられてしまうことになりかねません。
ただし、基本割合という言い方をしているように、昼間か夜か、住宅街や商店街か、歩行者は幼児や高齢者か、歩道と車道の区別があるかなどの修正要素で、基本割合は変わってきます。
交通事故に詳しい弁護士が、判例などに即してきちんと事案を分析していくことで、相手のいう数値よりも有利な過失割合を主張できることがあります。
「相手の言っている数値って仕方ないの?」と疑問があるときは、ぜひ交通事故に強い弁護士にご依頼いただくことをお勧めします。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。
交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。