過失相殺
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過失相殺
ウソみたいな設定ですが、大阪高裁2007/12/4交民集40巻6号1461頁で実際に判断が下された案件です。
クルマ・歩行者・自転車のいずれも信号に従う義務が課せられています(道交法7条)。
ですから、自分が青信号の場合、基本的に、交差道路は赤信号だから交差道路から進入してくることはないと期待してクルマを交差点に進入させてもよい状況にあります。
ところが、消防車・救急車・パトカーが緊急用務で走行している場合には、信号に従う義務が免じられています(道交法39条2項前段)。
このため、緊急自動車が交差道路を走行している場面となると、例外的に、先ほどの期待をしてはいけないという状況となるのです。
そうなると、クルマと救急車といわばどっちも信号違反なしで交差点に入ったような感じです。一体どっちが優先扱いされるのでしょうか?
救急車など緊急自動車には信号を無視して走行するにせよ他車に注意して徐行しなければならない義務が課されています(道交法39条2項後段)。
他方、クルマには、緊急自動車が交差点に接近してきたときは、交差点への進入を回避し、交差点の外に出て、かつ、道路の左側に寄って一時停止しなければならない義務が課されています(道交法40条1項)。
要するに、救急車が来ていながら交差点に進入したこと自体、緊急自動車を優先させる義務に違反したものとして、クルマの方に不利に扱われています。
前記大阪高裁では、さらにクルマの運転手はわずかの注意を払えばサイレンの音により救急車の接近に気づくことができたはずだとして、クルマ7:救急車3の過失割合を認定しているようです。
そのほか大阪地裁2014/3/18交民集47巻2号348頁ではクルマ6:救急車4、横浜地判2017/2/6交民集50巻1号130頁ではクルマ10:救急車0という過失割合が認定されています。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。
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