過失相殺
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過失相殺
片側1車線の道路(片方の車線の幅員4m)で、お互いの進行する道路の右端にクルマが縦列駐車していました。
大阪地裁平成4年3月28日交民集35巻2号428頁でとりあげられた案件です。
クルマの運転手はお互いに「センターオーバーした相手のほうが自分より悪い。自分はやむなく中央線をはみ出して走っていたにすぎないのだから。相手は自分に気づいて通り道を譲るべきだった」と裁判では主張していました。
裁判官は、「はみ出して走行することはやむをえないにせよ、はみ出す以上は対向車線を走るクルマの動きに十分注意しておくべきである」
「①予めクルマを慎重に縦列駐車車両にギリギリ寄せたり」「②その縦列駐車に達する手前で余裕をもって徐行したり停止して対向車両が過ぎるのを待っていれば、簡単に事故は回避できたはず」という理由で、お互いに(同程度の)過失があると認定しました。
クルマの基本ルールは、車道の中央から左側を通行しなければならないというキープレフトです(道交法17条4項)。
ただし例外として、道路工事その他の障害のため道路左側を通行できないとき(道交法17条5項2号)などは、中央線をはみ出しての通行も許されています。
上記事故が起きた場面は、まさに双方のクルマがお互いに例外的にはみ出すことが許容されていたので、両方とも同程度の過失ありという考え方をしたのでしょう。
ちなみに、実際の判決では、片方の運転手は向かってくるクルマがセンターオーバーしているのに気付いて事故発生前に急停止したのに対し、もう片方の運転手は左側の縦列駐車車両の方にばかり注意を向けて事故が起きるまで全く対向車両に気づかなかったということから、過失割合を30:70と定めました。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。