過失相殺

バイクで自転車を追い抜き中に、並走中の自転車が急に進路妨害したら?

  • 更新日:2024.8.7
  • 投稿日:2016.9.11

バイクで自転車を追い抜き中に、並走中の自転車が急に進路妨害したら?

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福岡県八女市で、片側1車線の道路を私はバイクで走行していました。
進行方向の左端を自転車がゆっくり走行していたので、バイクの速度を時速20㎞に落とし、自転車との間隔をあけて、自転車を右横から追い抜こうとしたのですが、自転車は後方確認もせず手合図もせずに、急に右にハンドルを切って私の進行をふさいできたのです。

私はとっさにバイクのブレーキをかけてハンドルを左に切ったのですが、間に合わずバイクの前部が自転車後部の籠左側を押すような恰好で衝突したのち、私がバイクと一緒に左に転倒して、左肘を強く地面に押し付けられる怪我をしました。
バイクを運転していた私としては普通に前方の自転車を追い抜いて、間隔も空けていたのですから、この交通事故で私に過失らしい過失はないように思うのですが。

バイク自転車追い抜き事故の過去判例

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東京地裁2014/1/16交民集47巻1号46頁に同様の事例があります。

この裁判で、バイク側は、突然、合図もなく追い抜こうとしたバイクの直進を妨げた自転車の過失は75%にのぼると主張したのですが、なんとバイク70%:自転車30%という、むしろバイクの落ち度が大きいという判断が下されたのです。
その理由として裁判所は、自転車には進路を変更するときは合図をしなければならないし(道交法53条1項)、進路を変更するときは後方を確認しなければならないのに、自転車は手合図もせず後方確認もせずに右に進路変更したことが過失であると指摘しつつ、同時に、
バイクは前車を追い抜きをするときは、前車の進路に応じてできる限り安全な速度と方法により進行しなければならない義務があるところ(道交法28条4項)、バイクは自転車を追い抜くに際し、自転車の動静を注視し尽さなかった過失がある

と説示したのです。

バイク自転車追い抜き事故の過去判例に対して菅藤の考え


しかし、幾ら自転車がバイクとの関係では相対的に交通弱者であるといっても、バイクが自転車のごく近くを通過しようとしていたならまだしも(間隔がごく狭い場合には自転車がわずかにぐらつくだけでバイクと接触するリスクがある)、バイクが普通に自転車と間隔をあけて追い抜いて、しかも、自転車が進路変更の予兆を何ら示していない場合ですら、このようにバイクが加害者扱いされるのは、過失割合設定として如何なものかと私は感じました。

これでは、100%自転車がどう動いてきても接触することはないと確信できる状況でなければ前方の自転車を追い抜いてはいけないということになりますが、Qのように交通事故が自転車の行動によって発生したとしても責任を結果的にバイクが課されるようでは、社会通念と大きくかい離しているのではないか、むしろ自転車の自招危険というべき交通事故ではないかなと。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。

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  • 日々情報更新中

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    論文集の数行の記載から裁判例を探り出して、自己の主張の根拠づけに利用したことは何度あるかわかりません。


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