過失相殺

センターオーバーした救急車と正面衝突した交通事故の過失割合は?

  • 更新日:2024.3.27
  • 投稿日:2016.4.25

センターオーバーした救急車と正面衝突した交通事故の過失割合は?Question

福岡市早良区交通事故事例

私は福岡市早良区の片側2車線ずつの道路を東から西に向かい走行していました。
対向方向から、福岡市立病院の救急車が福岡市内の現場に向かうためサイレンを鳴らしながら、西から東に向かって、対向第2車線を走行してきました。
私は東から西に向かい第1車線を進行中だったのですが、ちょうど第2車線の右前方を走行していたクルマが私の前方の第1車線に入ってきたので、私は第1車線から第2車線に車線変更したばかりのところでした。
ところが、その直後、対向第2車線を走っていた救急車が中央線を越えて私の走行している第2車線にはみ出してきたのです。
私はよけきれず救急車と正面衝突する交通事故に遭いました。
後からわかったことですが、救急車がセンターオーバーした理由は、対向第1車線と対向第2車線の前方が赤信号で混んでいたので、それらを追い抜こうとしたためだそうです。
私のクルマの修理費や、治療費・怪我の慰謝料などは、センターオーバーした救急車を保有する福岡市に支払ってもらえるのですよね?

救急車(緊急車両)との事故過失割合について【福岡市早良区交通事故事例】


救急車との事故過失割合について【福岡市早良区交通事故事例】Answer

救急車との事故過失割合について福岡市早良区交通事故

中央線のある同一道路を対向方向から直進してやってきたクルマ同士が正面衝突した場合、基本的には中央線を越えた側に100%過失を課します。理由は、車両は中央線から左の部分を通行しなければならないというキープレフトという基本原則があるからです(道交法17条4項、18条1項)。

Qの私は少なくとも中央線を越えていないのですから、キープレフトに抵触する走行はしていなかったことになります。
では中央線を越えたクルマがパトカー・消防車・救急車といった緊急自動車(道交法39条)だった場合もセンターオーバーしなかった私の過失は同じ0%なのでしょうか。

救急車と消防車で違いますけれども、Qのケースとほぼ同じ案件が久留米地裁2013/6/27自保ジ1905号124頁でとりあげられています。
驚くなかれ、センターオーバーした救急車の過失は0%で、センターオーバーで正面衝突された私の過失がなんと100%という結論になったのです。

救急車(緊急車両)と通常の自動車との違い

緊急自動車は、追い越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、道路の右側部分にはみ出して通行することが許されています(道交法39条1項)。
その場合、普通のクルマと異なり、緊急事態下の走行という特徴に配慮して、必要最小限度のはみ出し度合を遵守しなければならない(道交法17条5号柱書)という規制は及んでいません。
他方、緊急自動車が交差点又はその付近において接近してきたときは、クルマは交差点を避け、かつ、道路の左側に寄って一時停止して、緊急自動車を優先させなければなりません(道交法40条1項)。
また、交差点やその付近以外の場所で緊急自動車が接近してきたときは、クルマは道路の左側に寄って緊急自動車に道を譲って、緊急自動車を優先させなければなりません(道交法40条2項)。

お分かりでしょう、Qの私は道交法40条2項の譲歩行動をなすべきところ、サイレンを鳴らしている緊急自動車が対向してくるのを見たのだから、第1車線にいて道を譲り続けなければならなかったのに、第2車線に移動してかえって救急車のはみ出し走行を妨げたという理由で100%過失を問われることになったのです。

クルマで走行中、緊急自動車をみかけたときは、何が何でも道を譲ってあげる心がけが大事みたいです。緊急自動車は法律上特別扱いされていますからね。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。

交通事故(人身被害)に遭い、過失割合についてお悩みお困りの方は、ぜひとも、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご依頼ください

私が交通事故に強い理由

  • 高い専門性

    高い専門性

    特に、重度後遺障害の案件ほど、それらの専門知識の組み合わせにより、弁護士次第で獲得できる賠償金額が大きく変わってきます。

  • 豊富な実績

    豊富な実績

    交通事故案件について私と同じ年数を重ねて同じ分量を取り扱ってきた弁護士は、余り(特に九州山口のほうには)いないのではないでしょうか。

  • 責任持って対応

    責任持って対応

    菅藤法律事務所では、私自身が責任をもって全ての交通事故案件を対応させていただいております。

  • 日々情報更新中

    日々情報更新中

    論文集の数行の記載から裁判例を探り出して、自己の主張の根拠づけに利用したことは何度あるかわかりません。


ページトップ