過失相殺
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過失相殺
中央線のある同一道路を対向方向から直進してやってきたクルマ同士が正面衝突した場合、基本的には中央線を越えた側に100%過失を課します。理由は、車両は中央線から左の部分を通行しなければならないというキープレフトという基本原則があるからです(道交法17条4項、18条1項)。
Qの私は少なくとも中央線を越えていないのですから、キープレフトに抵触する走行はしていなかったことになります。
では中央線を越えたクルマがパトカー・消防車・救急車といった緊急自動車(道交法39条)だった場合もセンターオーバーしなかった私の過失は同じ0%なのでしょうか。
救急車と消防車で違いますけれども、Qのケースとほぼ同じ案件が久留米地裁2013/6/27自保ジ1905号124頁でとりあげられています。
驚くなかれ、センターオーバーした救急車の過失は0%で、センターオーバーで正面衝突された私の過失がなんと100%という結論になったのです。
緊急自動車は、追い越しをするためその他やむを得ない必要があるときは、道路の右側部分にはみ出して通行することが許されています(道交法39条1項)。
その場合、普通のクルマと異なり、緊急事態下の走行という特徴に配慮して、必要最小限度のはみ出し度合を遵守しなければならない(道交法17条5号柱書)という規制は及んでいません。
他方、緊急自動車が交差点又はその付近において接近してきたときは、クルマは交差点を避け、かつ、道路の左側に寄って一時停止して、緊急自動車を優先させなければなりません(道交法40条1項)。
また、交差点やその付近以外の場所で緊急自動車が接近してきたときは、クルマは道路の左側に寄って緊急自動車に道を譲って、緊急自動車を優先させなければなりません(道交法40条2項)。
お分かりでしょう、Qの私は道交法40条2項の譲歩行動をなすべきところ、サイレンを鳴らしている緊急自動車が対向してくるのを見たのだから、第1車線にいて道を譲り続けなければならなかったのに、第2車線に移動してかえって救急車のはみ出し走行を妨げたという理由で100%過失を問われることになったのです。
クルマで走行中、緊急自動車をみかけたときは、何が何でも道を譲ってあげる心がけが大事みたいです。緊急自動車は法律上特別扱いされていますからね。
※似たような事案でも、裁判官ごとに過失割合の数値が異なることは、実際の裁判でもかなり見受けられます。各事例で示された数値が絶対的数値であると誤用されないようご注意願います。
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