交通事故で破れたお気に入りの洋服の買替代は全額賠償対象なの?

交通事故で破れたお気に入りの洋服の買替代は全額賠償対象なの?

Question福岡県糟屋郡久山町の横断歩道を歩行中、クルマにぶつかられて転倒する交通事故に遭いました。その結果、着ていたお気に入りの洋服に血がついて、転んで擦り切れたので、もう着られなくなりました。
同じ洋服が欲しいので、買った代金全額を被害弁償してもらえますか?
 

 

Answer損害賠償の場面では、物は一般に減価償却して価値が逓減すると扱われています。
分かりやすく言えば、1万円で買ったものを全く使わずすぐ質屋に持って行ってもセコハン扱いで何割か減価して引き取られますよね。
 つまり、物の損害は買った時からの時間の経過により価値が減ってしまうと考えられているので、同じものを買い換えるだけの金額を全額弁償してもらえないのです

 

    言い換えると、裁判所はこういう考え方をするのです。
例えば1万円で洋服を買いました、買って3か月めに事故に遭って使えなくなりました、そのときに1万円まるまる支払ってもらえたら…3か月経ってまた新品が手に入ることになります。
 事故に遭わなければ3か月めには3か月使ったセコハンしかもっていなかったのに事故に遭ったことで3か月めに新品が手に入る、これは被害者に対する過剰な損害回復ではないかと考えるのです。

 

   では買った時の何割くらい賠償してもらえるのでしょうか?

 

   実はの割合についてのハッキリした基準はまだ裁判例でも示されていず裁判官がザックリと感覚で割合を決めているのが実情です。

 

  例えば、亡くなった被害者が事故の1か月前に買って、事故の時に着用していたスーツ・ワイシャツ・靴が事故で使えなくなったことについて、購入額の約70%の賠償義務を命じた裁判例があります(名古屋地裁2008/5/16交民集41巻3号616頁)。
 また、ヘルメット・グローブ・腕時計・リュックサック・Tシャツ・ジーパン・ベルト・靴について、購入時期との間隔も何も示さぬまま、ざっくり購入金額の約30%を事故当時の時価と評価した裁判例もあります(神戸地裁2013/1/24自保ジ1900号85頁)。
   ただ、どの裁判例でもなぜその数値なのかという、肝心の数値を導く根拠は全く示されていませんので、あくまで1つの参考事例という位置づけにとどまるでしょう

 

  そのほか、次のような裁判例があります。
・洋服や靴やサングラスやバッグが交通事故で損壊したとしてお互いに賠償請求した案件で、事故当時の時価を確定させる証拠はないとして物自体の損害を独自に認めず、人身損害の慰謝料算定にあたって考慮した(東京地裁1989/10/26交民集22巻5号1192頁)。

・事故時点で着用していたヘルメット・着衣・靴・手袋が使用不能になった案件で、相手方は2万2500円の対物賠償をしているが、購入時期や購入価格が不明であり、一般的にそれらの物の時価が1万円を超えることは考えにくいと、1万円の限度で賠償を命じた(京都地裁2012/4/25自保ジ1876号52頁)。

・アパレルショップ店長が勤務先のブランドの服を半年間着用したのち1年後に社販価格で買い取るシステムの下でおおむね5年間の使用期間で着用していた装着品について、シャツは特に摩耗が大きいことから正規販売価格の25%、スーツとベストは正規販売価格の30%、ベルトは正規販売価格の50%と評価する。
 また、メガネは事故から1年前のモノなので10%減価して評価し、携帯電話は端末単体での中古価格の立証がないかぎり独立の価値を見いだすことはできないと賠償請求を棄却(大阪地裁2013/10/29交民集46巻5号1424頁)。

   交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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