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レンタカー運転中の事故で支払ったNOCノンオペレーションチャージは賠償対象になる?

  • 更新日:2024.5.13
  • 投稿日:2024.1.28

ノンオペレーションチャージ
ノンオペレーションチャージQuestion福岡市中央区に住んでいますが、宮崎市を一泊二日で旅行した際にレンタカー被害車両を利用しました。交差点で青信号を直進した所、対向から右折してきた加害車両と出会い頭衝突となりました。
レンタカーを借りる際に「万一、借りたレンタカーで事故を起こし修理が必要となった場合、修理期間の営業補償の一部として、予定営業所へ自走して被害車両を返却した場合は2万円・予定営業所へ自走して返却不可の場合5万円支払う」というNOCノンオペレーションチャージが約款に設けられていました。
なお免責補償制度CDW(一般車両は1日あたり1000円)に加入していれば、事故が起きてもNOCの支払は免除されるという説明を受けていましたが、レンタカーを借りるのは1日間だけだし事故に遭うこともないだろうと見越してCDWには加入しませんでした。
この事故のためレンタカー会社にNOCとして2万円を支払いましたが、加害車両の運転者に対しNOC2万円賠償請求できるのでしょうか?

ノンオペレーションチャージ参考判例

ノンオペレーションチャージAnswer
札幌地判2023/1/18自保ジ2149号154頁の事案を参考にしました。

レンタカー運転者はこのように主張しました。
「本件事故に遭遇しなければNOCを支払うことはなかったから、本件事故とNOCの支払とは条件関係がある。またNOCはほぼすべてのレンタカー会社が採用している制度であるから、被害車両がレンタカーである場面では、加害者にとっても被害者にNOCの支払義務が発生することは通常予見できる事象である」
これに対し加害者はこのように主張してNOC賠償義務を争いました。
「NOCはあくまで被害者がレンタカー会社との間で交わした契約に従って支払ったもので、また、NOCの性質は違約罰であるから、交通事故によって通常発生する損害にあたらない。」「仮にNOCの法的性質をレンタカー会社の休車損害の賠償にあたるとしても、その場合、被害者の加害者に対する請求の法的性格は求償権の行使にあたり、求償権行使の場合には原債権の発生に関する主張立証が必要であるところ、レンタカー会社にいかなる休車損害が発生したのかの主張立証が被害者によりなされていないから、賠償義務はない」

参考判例結果ノンオペレーションチャージの設置目的

参考判例結果ノンオペレーションチャージの設置目的イメージ

果たして上記札幌地判2023/1/18の裁判官は次のように説示し、加害者に軍配をあげ被害者から加害者に対するNOC請求を棄却しました。
NOCを設けている目的は、レンタカー借受人がレンタカーを使用している間に修理を要する事故が発生したとき、その事故によりレンタカー会社に生じた休車損害について、借受人の過失の有無にかかわらず無過失賠償責任を負わせるとともに、レンタカー会社に発生する休車損害について、本来は、休車損害を請求する場合は、被害車両の1日あたりの営業利益を算出するとともに、遊休車両の不存在をレンタカー会社は立証する必要がある所、かかる立証を要せずにかつ実際に生じた休車損害の多寡にかかわらず予め取り決めた一定額をもって賠償することにした損害賠償額の予定と理解するのが相当である。
本件事故の発生により直接発生した結果は被害車両の損傷であるから、被侵害利益の帰属主体は被害者本人でなくレンタカー会社である。とすると、被害者によるNOCの支払行為は、被侵害利益の帰属主体であるレンタカー会社が加害者に対して賠償請求できる休車損害を、被害者が肩代わりする形で被害者に転嫁された反射的損害というものである。

ノンオペレーションチャージの設置目的イメージ

この場合、反射的損害を被った被害者は加害者に求償できるものの、前記波線のとおり反射的損害の原債権にあたる部分を自ら主張立証しない限り、被害者によるNOCの支払が、加害者の不法行為と相当因果関係ある損害にあたるとみることはできない。
被害者は契約締結時にNOCの支払をCDWというさほど大きくない負担で回避することができるのだから、たとえ借受人に事故発生につき過失がなかった場合であってもなお借受人はNOC支払義務を免れないという事態があったとしても、結論を左右すべきほどの不公平があるとはいえない
つまりレンタカーを利用する際に支払を惜しんでCDWに加入せず事故に遭遇したときはレンタカー料金を超えるNOCの支払を強いられる事態もやむなしというのが裁判所の考え方のようです。

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