休業損害や逸失利益

交通事故でパチプロができなくなった。休業損害はどうなる?

  • 更新日:2016.6.1
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故でパチプロができなくなった。休業損害はどうなる?

Question

福岡県中間市に住む25歳です、パチプロ3年めです。稼ぎは一律じゃないですが、平均すると月25万円くらいはあります。
バイクでパチンコ屋に向かう途中、クルマにぶつかられ、右腕を骨折する交通事故にあいました。治療中全くパチンコはできませんでしたし、幸い骨折は治ったものの、右腕にしびれや痛みが残り、パチンコはできてももうパチプロとして稼ぐのは無理です。自賠責で後遺障害としても認定されました。
治療中から、相手損保に休業補償を申し入れていたのですが、「パチプロはとうてい正業とはいえないので、休業損害は支払えません」と言われて、内払いを拒絶されてきました。
しかし、自分は現にパチプロで月25万円は平均して稼いでいたのです、交通事故で後遺症まで残る大怪我をして全く休業損害などが補償されないのは納得いかないのですが。

Answer

パチプロという職業の世間イメージは、「まじめに働いていない」「娯楽で儲けようとしてる」など正直よくありません。
しかし、パチンコ自体は公序良俗に違反する違法な娯楽ではありませんし、三店方式が脱法ではないかという意見も根強いですがパチプロで食べている人が絶無ではないのも事実です。実際、パチプロとして生計を立てていくには、トータルすると負けるのが通常の人なのに、それをプラスに継続的に転化できなければならないため、並々ならぬ研究と苦労を捧げていると言われています。

とはいっても、パチンコの場合、
1、社会一般の観念からは娯楽であって生計を立てる労働には区分されていない
2、収益自体が不確実で継続的に利益が保証されているものではない
3、収入を裏づける公的資料がない。だから、自己申告の数値に依拠できない
4、同じ1日でも10万円以上儲かることもあれば赤字のこともある、つまり、交通事故のために稼働できなくなった事実と収入が幾ら減ったかの関連が不明確である(ある1日を休んだ場合、幾らの損失が出たといえるのか、日によってマチマチである)

これらの事情を必然的に内包しているため、パチプロの場合、休業補償や逸失利益の内払をしてもらえることは難しく、解決の最終段階で基礎収入を幾らに設定するかを決めることが多くて、その場合でも、学歴や過去の就業歴などを勘案して示談交渉ではまとまらず裁判所の認定に委ねざるを得ない部分があるようです。2つの裁判例を紹介しておきます。

・大阪地裁2004/7/27自保ジ1589号13頁(休業損害の単価を平均賃金の6割、ただし逸失利益に関しては平均賃金の10割と認定)
・大阪地裁2012/12/26自保ジ1899号149頁(休業損害と逸失利益の単価を月15万円と認定=生活を維持するには月15万円程度の収入は必要と推察される、仮にパチプロでなければ他の仕事を選択して生計を維持していたであろうと推察される、)

交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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