交通事故Q&A

休業損害証明書から1日の単価と休業日数はどうカウントする?

  • 更新日:2017.9.3
  • 投稿日:2017.9.3

 

休業損害証明書から1日の単価と休業日数はどうカウントする?

Question

 私は宗像市で建設会社に勤務し週休2日で控除前の額面で毎月24万円の給料をもらっていました。具体的には事故前3か月の実労働日は祝日による休みもあって22日・21日・25日です。

 休日にバイクを運転中、信号無視のバイクに交差点でぶつかられ、ひどく身体がきつかったので、入院はしなかったのですが、その後45日間連続して休みました。その期間に相当する実労働日は34日でした。
 休業期間は溜まっていた有給休暇を消化しましたが、有給休暇が10日分しか溜まっていなかったので、不足分は欠勤扱いになりました。
 会社に休業損害証明書を発行してもらったのですが、私の休業損害はどのように計算されるのでしょうか?

Answer 有給休暇として消化した部分は、本来なら自由に利用できる日を交通事故のため欠勤日に充てたと評価され、その財産的価値に鑑み、実際に給料を会社からもらっていても、その利用日相当分を賠償請求できると扱われています(神戸地判2001/1/17交民集34巻1号23頁ほか)。

 次に、1日の単価の計算方法としてはαまたはβが用いられます。
α:事故前3か月の控除前額面を実労働日で割る
β:事故前3か月の控除前額面を90日で割る
  本件ではαの場合の1日単価は、24万円×3÷(22日+21日+25日)=1万0588円となります。βの場合の1日単価は、24万円×3÷90日=8000円となります。

 そして、休業日数のカウントはαまたはβが用いられます。
α:休業期間に対応する実労働予定日(欠勤日)をカウントする。
β:休日も含めた休業期間をカウントする。
  本件ではαの場合の休業日数は34日間で、βの場合の休業日数は45日間です。

 従って、αの計算方法ですと1万0588円×34日=35万9992円が休業損害となり、βの計算方法ですと8000円×45日間=36万円が休業損害となります。
 1日の単価でαを、休業日数のカウントでβを、という良いとこどりはできません。

 このように連続休暇の場合には、αとβには大きい違いがない場面もあり、実務では自賠責保険の計算方法と同じくβが利用されることが多いのです。
 しかしながら、例えば、勤務頻度が週休2日制よりも少なかったり、入院など連続休暇と通院の場合の断続休暇が混在していたり、通院のみで断続休暇の場合には、βよりもαのほうが金額が増える場合もあるので、両方を対照することをお勧めします。

菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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