休業損害や逸失利益
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休業損害や逸失利益
逸失利益を計算するとき、交通事故にあったとき、まだ収入のない、幼児・児童・学生といった子どもの被害者について、基礎収入のところにはどういう数値を入れるのですか?
幼児・児童・学生といった子どもが被害者の場合には、現実にお金をもらって働いているときに休業損害の賠償対象になります。
例えば、アルバイトに従事していた場合、交通事故のためにアルバイトを休んだ分の休業損害は補填されます(京都地判1981/5/27交民集14巻3号638頁、宇都宮地判1981/9/8交民集14巻5号1082頁)。
では子どもが交通事故で亡くなったり後遺症が残ったことで、逸失利益を計算する必要がでたときも、同じく現実に収入がないということで補填されないのでしょうか?
これについては、幼児の逸失利益を算定するに際して、諸種の統計その他の証拠資料に基づき、経験則と良識を活用して、できるかぎり客観性のある額を算定する必要があり、一概に算定不可能と扱うことは許されないという裁判所の考え方が確立しています(最高判1964/6/24判タ166号106頁)。
実務では、性別や年齢など状況に応じて、賃金センサスの全年齢平均賃金または学歴別平均賃金を用いて、基礎収入を設定しています。
交通3庁共同提言判タ1014号に例が示されています、その3つを紹介します(いずれも数値は平成9年の場合です)。
①10歳の男子・・・男子全年齢平均賃金575万0800円
②大学進学を希望している高校3年の女子
・・・大卒女子全年齢平均賃金448万6700円
③大学4年に在学中の24歳の男子
・・・大卒男子全年齢平均賃金687万7400円
なお、子供の症状固定時期と裁判など口頭弁論の終結時期に間隔が空き、その間に賃金センサスの平均賃金が増えていることもあります。
逸失利益を計算する際の基礎収入として賃金センサスによる平均賃金を用いる場合には、原則として症状固定時の賃金センサスに拠るのですが、例外的に未就労の若年者の逸失利益を計算する場合にはできるだけ現実に就労を開始できる時点に近接した最新の統計に基づく賃金統計を使うべきという考えも示されています(大阪地判2001/8/28自保ジ1455号8頁、高裁も特に変更せず)。