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Q:北九州市小倉西区で10トンの大型クレーン車を運転中、信号停止していたときに、後方の普通乗用自動車の左前部から追突されました。私は追突されてから首の具合が悪くなったので、交通事故の2日後から通院を開始して6か月間通院しました。しかし通院終了後も体調が悪い状況が続いているので、私は自賠責に後遺症申請を希望しています。
被害車両の外観ですが目だった凹損はなく被害車両の修理費は17万円でした。他方、加害車両の外観ですが、左前部ボンネットに変形量数cm程度の押し込み損傷があり左ヘッドランプも破損していました。
この状況を弁護士に法律相談し、後遺症申請を依頼しようと思ったのですが、弁護士から逆に軽微物損衝撃であることを理由に自賠責が受傷否認してくる危険が低くないので、後遺症申請はしないほうがよいといわれました。怪我して痛いのにどうして後遺症申請を我慢しないといけないのですか?
A:大阪高判2009/2/22自保ジ2047号116頁の事例を参考にしています。
今回取り上げる現象を、軽微物損衝撃による受傷否認といいます。修理費用が相対的に低かったり被害車両の外観が大きく変形していない場合のほかに、ミラー同士の接触事故や二輪車の被害事故で事故の衝撃により転倒していない場合などにも、この現象がよく問題視されますし、裁判例も複数散見されます。個別の事例が軽微物損衝撃に該当するおそれがいかほどかは交通事故に強い弁護士の助言を聞いて判断を仰ぐのが賢明です。
上記大阪高判2009/2/22では、被害車両は加害車両の10倍も重さがあるので、運動量保存の法則に照らすと追突により車体はほとんど前方に移動することがないと科学的に予測される、しかも、双方車両の物理的変形の度合からすると、追突の衝撃は軽微な部類に区分できる、そうすると、交通事故のせいで大型クレーン車に載っているドライバーの首に不都合が起きるほど揺れ動きがあったとは認定できず、首の症状は交通事故に起因して生じたものと認めがたいと、交通事故による受傷を否認し、加害者は1円も賠償する義務がないという判決がでました。
自賠責でも、交通事故による人的被害(後遺症にかぎらず治療費や休業損害や慰謝料)の補償対象とするには、被害者の訴える症状や治療と、交通事故でもたらされた外力との間に、社会通念上の相当因果関係あることを被害者のほうで立証する必要があるという見解を保持しています。
その相当因果関係あることの立証について、被害者の主訴やそれを記した診断書の記載のみに依拠せず、画像所見や医学的所見や事故発生状況に関する資料に照らして客観的に因果関係の存在を証明することを自賠責は要求します。
そして昨今の自賠責では被害者から後遺症申請がなされると、双方車両の変形具合を知れる写真と修理見積書を提出するように被害者に指示する事象が増えました。これは自賠責が審査にあたり、被害者の主訴やそれを記した診断書の記載に偏ることなく、客観的資料を重視して審査する態度を示していることを意味します。さらに、菅藤の経験では後遺症審査の過程で加害者サイドに詳しい事故発生状況を書面照会されたこともありました。
その審査結果として、自賠責は、軽微物損衝撃の場合には、後遺症の申請をしているのに、後遺症には非該当と言及するにとどまらず、画像所見が欠落しており患者の主観による自訴しかなくこれでは相当因果関係の立証がなされたとはいえないと付記して受傷否認の決定まで出すことがあるのです。実際に菅藤もそういう自賠責の決定書をみたことがあります。
なお、ここまで自賠責が後遺障害審査で後遺症非該当認定にとどまらず受傷否認する場面を説明してきましたけれども、受傷否認が浮上してくる場面はなにも後遺症申請の場面にかぎりません。
後遺症審査の申請をしていずとも、示談解決にとどまらず訴訟移行すると、損保会社は必ず専門の弁護士をつけてきて、その際には間違いなく軽微物損衝撃のため受傷否認する、否認までせずとも医学的に必要な治療期間は実際の分よりももっと少ないはずという主張を繰り出してきます。
この場面で損保会社サイドは、軽微物損衝撃における受傷否認の裁判例や学説をたくさん援用してきます。それをみた裁判官のほうでは、被害者が反論を講じようとも損保会社の主張に軍配を上げて、受傷否認まで至らずとも医学的に必要な治療期間を実際にかかっている分より短縮して認定することも珍しくありません。訴訟提起したことで示談交渉のときよりも賠償額があがるどころか藪蛇で下がってしまう事態がうまれます。
ちなみに、自賠責保険が受傷否認の決定を出すと、後遺症申請する前まで相手損保が任意に治療費支払に応じてくれたので安心して治療し続けていたのに、その途端に、相手損保も治療期間に相応する慰謝料などの以後の支払を一切拒絶する態度をとるように変化します。ときには、医療機関に支払った治療費や休業損害など支払ってきた内払金の返金を被害者に求める裁判まで起こすこともあります。この場合、損保会社がそのように一転して支払拒絶や逆に支払分の返金をもとめる態度を変更することは問題あるのではと被害者は激怒するのですが、法的には自賠責が受傷否認の決定を出した以上は損保会社の態度変更は、法律上は何の問題もないという解釈を裁判所はとると思われます。
もし自賠責が受傷否認の決定をだした場合、後に裁判で受傷否認の決定を覆そうと巻き返そうとしても、裁判所も自賠責の受傷否認という事実を重く評価して、自賠責の判断にしたがい受傷否認を維持したり、仮に受傷否認するまでのことはなくても実際の治療期間よりもぐんと短縮して慰謝料や治療費を認定する事態がよく起きます。
このようなことを踏まえると、軽微物損衝撃の場面では、後遺症申請ふくめた自賠責審査を経ることなくかつ訴訟移行もしないで、専ら相手損保と間で示談交渉で決着することが一番被害者にとってメリットがある事態も多いことは、交通事故被害者が知っておいて損はない知恵です。
交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。