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北九州市小倉南区30代男性12級

  • 更新日:2022.7.4
  • 投稿日:2022.7.4

整骨院を中心に通院した厳しい中、無事に後遺障害の認定をいただけたのは先生のおかげです。長期間にわたり粘り強く交渉いただきありがとうございました。
 
 高速道路上で玉突き追突の被害に巻き込まれた被害者からのご依頼です。さいわい弁護士費用特約に加入しておられたので、弁護士費用の自己負担なく決着することができました。

 被害者は本件事故により頸椎捻挫・腰部挫傷・左根性坐骨神経痛の傷害を負い治療を続けていたところ、事故後6か月経って厳しい疼痛が持続しているのに相手損保から治療費の対応打ち切りを打診されたので、どうしたらよいかとご相談に来られました。

 まず、症状固定時期がもう到来しているかどうかは主治医の意見を尊重して決定したほうが好もしいと伝えました。ただしむち打ち症では最近の損保会社は自社の方針に則して主治医の意見がどうだろうと打ち切りを強行してくることが増えてきたので、打ち切りを延長する交渉に重きを置くべきではないと経験に裏打ちされた助言を行いました(打ち切りを延長できてもせいぜい1か月程度で、逆に、その延長終期をもって症状固定日とするような取引に応じざるを得なくなるので)。

 そして、治療費打ち切りのときに病院通いを終了させるのでなく、むしろ症状が持続しているのであれば自費ででも治療は継続したほうが好もしいと助言し、被害者はその助言にしたがって行動されました。

 次に、治療初期には、主治医の同意なく相手損保の了解あることをもとに整骨院を中心に治療を続けられていたことから、交通事故の治療で整骨院を利用することのデメリットを説明しました。この件では例外的に解決にあたり整骨院利用が賠償問題に不利益を及ぼすことを回避することができました。

 さらに、被害者はもともと腰にヘルニアがあり、交通事故の数か月前にヘルニアの手術を受けたばかりとの話も告白されました。ただ、手術後には症状が改善していたので全く病院に通っていなかったということも聞きました。
 ということは、裏を返せば、手術後の交通事故に遭う前の手術直後の腰の形態も記録されているはずですから、、事故後に撮影した画像と対照することで、画像所見における外傷性の有無を判断できると考え、交通事故の数か月前の医療記録も取り付けました。

 相手損保の一括打ち切り後も自費で治療を続け、主治医の見立てのもとに症状固定日を決定し、症状固定後も治療を自費で続けながら後遺症申請しました。後遺障害診断書には、既往症に関して、交通事故の数か月前にヘルニアの手術をおこなった主治医にも医療照会を実施した上で「従前の椎間板ヘルニアは、術後完治していた」と明記してもらいました。

 後遺症申請の結果、残存症状を裏付ける左優位の神経根の圧迫が画像上確認できるということで、12級の後遺障害認定を受けました。仮に弁護士の的確な助言が無ければ、事故前の手術による既往障害としての不利益評価を回避することは困難だった事案と推察します。

 いざ後遺障害の等級を獲得して賠償額を試算した後に相手損保との交渉を開始した所、相手損保は予想とおり症状固定日を打ち切り日にすべきだという主張、さらに、被害者は手術前からもヘルニアのせいでたびたび長期療養を繰り返しており交通事故の数か月前に訴えていたときの症状は手術で除去できたもののその手術はヘルニア自体を消失させる内容のものでないから看過しがたい素因減額の既往症が存在すると主張してきました。

 たしかに、交通事故前の手術でヘルニア自体を除去してはいないので、いったん症状を消失させていても、素因減額の要素であるヘルニア自体はれっきと存在しているので、解決にあたっては幾ばくかの素因減額を受け入れざるを得ない状況にありました。
 ただ相手損保はもっぱら自社にとって有利な、過度に被害者に酷な素因減額の数値を採用した裁判例だけ摘示してきたので、弁護士菅藤は普段の豊富な交通事故に関する知識を活かし、被害者にとっても受け入れられる水準の素因減額の数値を採用した裁判例を援用しながら、相手損保に適切に反論していきました。被害者の年収が非常に高額だったこともあって、交渉には少し時間を要しましたが、訴訟することなく解決できました。

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