菅藤浩三ブログ

高次脳機能障害は交通事故で見逃されやすい種類の後遺障害です

  • 更新日:2016.6.1
  • 投稿日:2016.4.25

高次脳機能障害は交通事故で見逃されやすい種類の後遺障害です

  福岡県弁護士会交通事故委員会主催の《脳外傷による高次脳機能障害相談マニュアルの解説講演を聴いてきました。
この《脳外傷による高次脳機能障害相談マニュアル》というのは、日弁連交通事故相談センターが隔年で発刊している、交通事故損害額算定基準(いわゆる交通事故青本)の中に綴じられている付録の1つです。

ここ10年、交通事故青本が改訂されるたびにマニュアルの内容も改訂されていますので、交通事故に強い弁護士であり続けるためには、常に最新版をチェックしておく必要があります。

   マニュアルの中には、自賠責保険において、脳外傷による高次脳機能障害というための3つの目安に関する概括的な説明がなされています。
    1、交通外傷による脳の受傷を裏づける画像検査結果が出ること
    2、一定期間の意識障害が継続したこと
    3、一定の異常な傾向が生じていること
        (精神面の異常だけでなく、起立障害・歩行障害・痙性片麻痺の
併発・尿失禁といった、身体機能の異常も例示されています

   この講演では、高次脳機能障害が交通事故で見逃されやすい種類の後遺障害である理由が、マニュアルをもとにコンパクトにまとめられていましたので、その概要を紹介します。

1、脳損傷を伴う交通外傷の場合、生死の境を彷徨う重篤な状態が一定期間続くことが多い⇒命が助かり、そのうえ、奇跡的に意識も回復したことで、麻痺などの身体障害を伴わない場合には、それ以上の人格変化などの異変を脳外科医が見落としてしまうことが多い

2、退院後の家庭生活でも、家族すら奇跡の回復を祝福しているうちは、人格変化などの異変に気づかない⇒被害者が家庭生活にとどまらず、社会復帰して相当期間経過したのちに初めて異常な傾向に気づくケースがある。

3、 家庭内や病院では被害者にストレスをかけるようなことは少ない(重篤な症状から奇跡的に回復したいたわるべき存在として扱う)⇒病院や家庭内では、注意障害や遂行機能障害といった類の異常は、潜伏しやすく顕在化しにくい傾向にある

4、子どもが高次脳機能障害の被害者になった場合、現状がたいしてひどくないとしても、成人に達した場合の社会活動能力の低下というかたちで、発達阻害による後遺障害の顕在化や拡大という事態はありうる⇒子どもが高次脳機能障害の被害者になった場合、大人に比べ相当長期間の経過観察を必要とする。
特に時効が成立しているかどうかの問題は極めてデリケートである。

交通事故による高次脳機能障害に関し、交通事故青本は改訂のたびごとに有用な付録記事を連載しつづけています。引き続き、私は交通事故の専門家として、高次脳機能障害の学習を継続し、皆様のお役に立てるよう頑張る所存です。

交通事故でご本人やご家族が高次脳機能障害になったかもしれないとご心配な場合には、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

お問い合わせリンク


ページトップ