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自転車運転の交通取り締まりが強化されました

  • 更新日:2023.2.23
  • 投稿日:2023.2.23

自転車運転の法規制がより厳しく

  2022年10月より、悪質な法律違反に対する自転車運転の取り締まりが強化されることについては、テレビニュースやインターネットや新聞記事でも何度も取り上げられているので、耳にしたことある人も少なくないと思います。
  何度も繰り返し報道されること自体、自転車の交通ルールや自転車運転により惹起される交通事故被害に寄せる社会の関心が高いこともうかがえます。

  とくに、未成年が加害者となった自転車の交通事故で、寝たきりや当たり所が不運で死亡という重大な結果に至ったため、被害者に対し数千万円支払を命じられたといった、悲惨な自転車事故の裁判報道などがなされたことを契機に、各都道府県などでは自転車利用者に自転車で交通事故を起こしてしまった際に利用できる個人賠償責任保険への加入を条例で義務化するなど、自転車事故での被害を自転車が関係する交通事故や自転車の交通ルールに関してそれまで以上に関心が抱かれるようになったかと思います。  

  しかし、交通ルールを遵守しないまま走行する自転車はあいかわらず多数存在し、夜間に無灯火で走行する自転車、スマホを見ながら走行する自転車、イヤホンを付けたまま走行する自転車、自転車通行可でない歩道を危険な速度で走行する自転車、などなど多くの違反者を目にすることも多く、自転車が関係する交通事故も多数発生しています。
 

  また、コロナ禍をへて、自転車で通勤通学する人、さらに、宅配サービスのためスピードを出して危険な運転を繰り返す人も間違いなく増えましたので、その分、自転車が加害者となる事故の件数も増えているはずです。自転車を取り巻く法規制の基本をまとめました。

 自転車は軽車両

 自転車は道路交通法第2条により『軽車両』とされています。車両ですから、基本的には車道を走行するのが原則で、歩道を走行するのは自転車歩行可と指定されているなど例外ということになります。むろん車両ですから、周囲の安全はもちろん、自分自身を守るためにもルールを守った走行をしなければなりません。

  自転車の違反に対する取り締まりは『警告か赤切符』で行われる

  警告とは違反者に対して自転車指導警告カードを交付し、警察が警告を促すというもので、刑事罰には該当しません。
  赤切符とは刑事罰の対象となる交通違反切符です。赤切符を交付されると刑事事件として処理されることになり、検察庁へ送致→起訴→裁判という流れで刑事処分を受けることになり、前科がつく可能性があります。また、検察庁で不起訴となった場合でも捜査機関の捜査対象となったという前歴がつく可能性があります。
   さらに、3年以内に事故または赤切符を交付されるような違反をあわせて2回以上繰り返した場合は有料の自転車運転者講習の受講命令に従う必要があり、従わない場合は5万円以下の罰金が科されることもあります。

  これまでも自転車の違反に対する警察に取り締まりは行われておりましたが、警告により取り締まりが行われることが大半で、特に悪質な違反に対してのみ赤切符による取り締まりが行われていました。
 しかし、警視庁によると今回の取り締まり強化後は「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行せずに歩道通行」の4項目を重点的に取り締まりを強化する違反とし、そのうち悪質な違反については、これまで 警告 にとどめていたケースでも積極的に 赤切符 を交付して検挙する方針と発表されています。そのため、取り締まり強化後はこれまでは 警告 にとどめられていた違反も、赤切符 による取り締まりの対象になる可能性があるということです。

 さらに、2008年から13歳未満の児童が自転車に乗る際にヘルメット装着の努力義務が保護者に課せられていたのですが、2023年4月からは、年齢問わず、自転車を運転する人全員に対してヘルメット装着の努力義務が規定されました。ただし、努力義務のため違反しても直ちに罰則の適用はされない運用になっています。
 

 自転車の違反は行政処分の対象外

 駐停車違反、信号無視、一時停止違反、速度違反(30km/h)、整備不良など、自動車の軽微な違反に対しては青切符(交通反則通告制度)での取り締まりが行われており、一定期間内に行政罰としての反則金を納付すれば行政罰として処理され、刑事責任は問われないことがほとんどです。
  しかし、自転車で一時停止違反をすると赤切符で取り締まりが行われる可能性があるため、自転車の取り締まりが厳しいのではないかという声もあるようですが、自転車は自動車と異なり、運転免許を持たない方や学生などの未成年でも乗ることができる車両ですので、行政処分の対象とはならず、警告 か 赤切符での取り締まりが行われています。

  学生も大人も、いまいちど、自転車交通ルールの再確認を

 福岡県内の統計によりますと、自転車が関係する交通事故のうち、学生が関係する交通事故の発生件数はその4割を占めています。運転免許を持つ自転車利用者と比べると、自転車運転者は免許更新どころか運転免許すら不要で、あらためて車両の基本的な交通ルールを学ぶ機会が少ないため、軽率に交通違反をしてしまっている可能性が高いです。

 自転車は便利な乗り物ではありますが、ひとつの違反が重大な事故に発展する可能性もあります。実際に自転車が加害者となる死亡事故も多数発生していますので、交通ルールを再確認し、自転車を利用する際は交通ルールを守り、安全を強く意識した運転を心がけましょう。
弁護士

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