物損
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物損
福岡県糟屋郡志免町の交差点で出合い頭の交通事故に遭いました。幸い、私の怪我は軽かったのですが、載っていたクルマの修理に2週間かかりました。
ドイツでは、仮定的代車料の賠償義務を加害者に課すことを認めています。 仮定的代車料とは、交通事故の物損被害者が、修理期間中において、他の有料の代替的公共機関を使用することもなく、自ら有料で代車を賃借したわけでもなく、何とか不便をしのいだ場合、被害者が代車を有料で賃借していたらと仮定して、その仮定した単価に修理期間を乗じて算出した金額を、物損被害者が請求できることを指します。
ここでいう不便のしのぎ方には、Qのように同僚のクルマに便乗させてもらうとか、親類縁者のクルマを一時的に無料で借りるとか、早起きして徒歩や自転車で移動するとか、移動しなくてよいように勤務先に泊まり込むとか、様々なやり方があるでしょう。
ドイツではないこの日本ではどのように考えられているのでしょうか。
ドイツでは仮定的代車料を認めているから日本でも認めるべきという粗い議論の仕方はできません。例えば、懲罰的慰謝料はアメリカでは肯定されていますが、日本では否定されています(最高裁1997/7/11判タ958号93頁)。
司法が国家権力の一作用である以上、国ごとで扱いが違うことはことさら不合理な事態とまではならないからです。
私が入手できた情報では、非公刊ながら、仮定的代車料の支払義務を加害者に課す名古屋高裁1997/7/23及び原審名古屋地裁1996/12/25が存在します。
しかし、私が調査した限り、公刊物では仮定的代車料の支払義務を否定したケースしか見当たりませんでした(神戸地裁1995/12/6交民集28巻6号1700頁、東京地裁2001/1/25交民集34巻1号56頁、東京地裁2002/9/9交民集35巻6号1780頁)。
加えて、全国の民事交通裁判をリードする東京地裁交通部は一貫して仮定的代車料の支払義務を否定しています(判タ770号51頁論文、全訂5版別冊判タ38号18頁)。
思うに、日本の不法行為体系は、あくまで実際に具体的に発生した損害つまり実損だけを賠償する建前で、例外的に実損以外に賠償すべき精神的損害として慰謝料を位置づけています。
ところが物損被害の場合、ごく例外的な場面を除いて、慰謝料を請求することはできないとされています。
その結果、物損被害の場合には実損のみが賠償対象となり、実際に具体的に発生したとは言いにくい仮定的代車料は賠償対象にならないという考えが支配的になっているのではないでしょうか。
残念ながら、仮定的代車料を支払ってもらうことは、裁判例をはじめとする実務趨勢を見るとかなり困難と思われます。
交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な知識と実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。