休業損害や逸失利益
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休業損害や逸失利益
交通事故で骨折し、1カ月の入院が見込まれます。
通常、自営業者の休業損害や逸失利益を算定する際の基礎収入は、事故前年の確定申告控えや市役所の所得証明書を利用して設定します(年ごとに変動があるときは過去数年分を利用することもあります)。
ただ、自営業者の場合には赤字申告も珍しくありません(法人に関する統計ですが赤字申告は総申告数の75%にのぼるそうです)。
赤字申告という状態を数字だけ眺めれば、その事業を営んでいても売上が経費を下回る状態なわけですから、休業して売上が減ったとしても、同時に、営業していたら発生したであろう経費も減るわけで、赤字がさらに増えてマイナスがさらにマイナスになることはあっても、もともとプラスはなかったということになり、休業損害や逸失利益を計算するためのプラスの基礎収入なるものを観念できないようにも見えます。
しかし、売上から様々な経費を控除した結果が赤字ということであっても、赤字の労働自体が全く価値が無いと言い切るのは酷ともいえます。そのため、赤字申告であっても休業補償がゼロという考え方はとられていません。
問題は、赤字申告の基礎収入をどのように算定するかということです。
1つめは、赤字申告の場合には1日あたり5700円という定額を上限にするという手法です。
自賠責保険が採用している簡便な方法ではあります。
といっても、その事業の1年間の売上が5700円×365日=208万0500円を下回る場合には、そもそもその労働に5700円の価値を付与する理屈自体が立たないことになります。
2つめは、同年齢の平均賃金を参考に、基礎収入がその平均賃金の何割には相当すると推定する手法です(大阪地裁2006/6/14交民集39巻3号764頁、東京地裁2003/7/1判タ1157号195頁、東京高裁1997/8/18交民集30巻4号941頁、東京地裁1975/8/25交民集8巻4号1170頁、名古屋地裁1992/7/29交民集25巻4号892頁)。
その数値も100%の場合もあれば70%の場合など様々です。
要は、確定申告書の内訳の固定費や変動費の度合を見て、同年齢の平均賃金と同水準の労働価値があるとみるか、落ちるとしてどの程度落ちるとみるかという裁判官の心証が影響しているようです。
1つめの手法は損保会社・被害者それぞれにとって予測可能性がつきやすいということで交渉で利用される頻度が高いのに対し、2つめの方法は数値の設定について損保会社と被害者の意見が一致してこそ妥結できることから裁判など第三者の判断を仰ぐ場面で利用される頻度が高いといえるでしょう。
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