兼業主婦(パート勤務など)の基礎収入にはどういう数値が入る?

Question

逸失利益を計算するとき、例えば主婦でもあり、同時に近所のスーパーでパート勤めをしていた(パート収入年間70万円)、兼業主婦だった被害者の基礎収入のところはどういう数値を入れるのですか?

Answer

専業主婦(家事従事者)の場合は、賃金センサスの女子労働者の平均賃金を基礎収入に設定すると説示されています(最高裁1974/7/19交民集7巻4号960頁)。

 

     兼業主婦の場合、実際に収入を得てはいるものの、その実際の収入が、女子労働者の平均賃金をはるかに下回ることも珍しくありません。もし実際の収入額を基準に設定してしまうと、外で働いている女性が外で働いていない女性よりも不利な評価を受けることになってしまいます。

 

  そこで、①現実の収入が平均賃金を下回っているときは専業主婦と同じく平均賃金を基準に設定し(東京地判1989/1/26交民集22巻1号74頁、福岡地判2014/2/13自保ジ1920号56頁、名古屋地判2013/10/30自保ジ1916号130頁)、
逆に②現実の収入が平均賃金を上回っているときは給与所得者と同じく実際の収入額を基準に設定する手法が採用されています。

 

   交通3庁共同提言判タ1014号の例2つを紹介します。
①35歳の薬学部卒の年収600万円の薬剤師兼業主婦
・・・基礎収入は実際の薬剤師収入600万円(>340万2100円=平成9年の賃金センサス)
②35歳の高卒のパート年収180万円の兼業主婦
・・・基礎収入は女子の全年齢平均賃金340万2100円(>180万円=実際のパート収入)

なお、兼業主婦の場合に、主婦業に加えて外でも仕事をして金銭を獲得しているのだから、②の場面でも基礎収入には平均賃金に実際の収入を加算すべきという意見があがることがあります。
   この意見に対しては、
兼業主婦は家事労働に充てる時間を外での労働に充てることで金銭を獲得できている(≒外での仕事に従事する分だけ専業主婦に比べて家庭内での家事労働の質量が減っている、つまり、兼業主婦の家事労働と兼業主婦の現金収入の合算額が専業主婦の家事労働と価値同等と評価することが適切である)という理屈により、パート実収入を平均賃金に加算して基礎収入とすることはできないと実務は取り扱っています(名古屋地判1991/8/30交民集24巻4号1001頁)。

交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

 

お問い合わせリンク