お得な交通事故マメ知識
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お得な交通事故マメ知識
仕事での移動中や出社退社途中で交通事故に遭ったときは、加害者の加入する自動車保険のほか、労災保険も利用できると聞きました。仮に労災保険を使ったときはどんな得があるのでしょうか?
被害者の過失が大きい場合にはものすごく得です。
例を使って説明しましょう。
【被害者が大怪我で入院して治療費が300万円かかった。被害者の過失は60%もある。そのほか被害者には休業損害300万円と慰謝料400万円が発生している。後遺障害は残らなかった。】
メリットその1⇒治療費(療養保険給付)を全額支払ってもらえる
自動車保険のみの場合、治療費300万円の40%つまり120万円(自賠責の上限枠)しか治療費を支払えないと、保険会社からいわれることもありえます。
また、加害者が自賠責しか加入していない場合には治療費だけで120万円の上限が使われてしまいます。健康保険を使っても自己負担部分があります。
労災保険ならば、被害者に過失があっても労災が負担する治療費はカットされず自己負担なく治療費300万円全額支払ってもらえます。
メリットその2⇒費目流用の禁止(最高裁平成22年9月1日判タ1377号92頁)
費目流用の禁止というのは、例えば労災で治療費を支払ってもらった場合、損益相殺の場面で、ほかの慰謝料に填補されたりしないということです。
自動車保険の場合、仮に治療費300万円マルマルを支払ってもらったとすると、加害者が本来負担すべき金額は
(300+400+300)万円×(100-60)%=400万円
にとどまるはずということで、慰謝料と休業損害を合算しても、残り枠100万円しか加害者から支払ってもらえなくなります。
労災保険ならば、費目流用が禁止されているので、治療費300万円支払ってもらっていても、労災保険でカバーできない慰謝料には影響がないのです(具体的には、加害者側から300万円×40%=治療費120万円を支払ってもらったのと同じ充当をすることになります) 。
同様に、休業損害についても、労災保険から休業補償給付で本給の6割をカバーできますが、この休業補償給付も労災保険でカバーできない慰謝料には影響を及ぼしません。
すると、療養補償給付だけでなく休業補償給付を受け取った場合にも、労災保険でカバーできない慰謝料の分を加害者に請求できる権利が保持されたままになるのです。
メリットその3⇒特別支給金(本給の2割)がもらえる
労災保険を利用すると、休業補償給付(本給の6割)に加えて、休業特別支給金(本給の2割)がもらえます。この特別支給金という制度は後遺障害にも用意されています。 なお、休業特別支給金の時効は2年、障害特別支給金の時効は5年です。
休業損害300万円の場合には、休業補償給付180万円と休業特別支給金60万円が支払われます。
もし労災保険を利用していなければ、本来加害者には休業損害300万円×40%=120万円しか請求できなかったのに比べるとはるかに得です。
ちなみに、労災での休業時に年次有給休暇を利用したとき、その利用期間は賃金が満額支払われたものと扱われるため、休業補償給付の支給要件の1つである賃金を受けない場合に該当しないものとして、その利用期間については労災の休業補償給付を受けることはできなくなります。
そのほか、被害者の過失が0だった場面を想定してみましょう。
休業損害300万円の場合には、労災保険から休業補償給付と休業特別支給金とあわせて240万円がもらえます。ところが特別支給金は損益相殺の対象になっていません(最高裁平成8年2月23日判時1560号91頁)。
ですから被害者の過失が0だった場合、特別支給金60万円をもらっていても、加害者に休業損害300万円と休業補償給付180万円との差額120万円を依然請求できるのです。
明らかに労災保険を使った方が得です(60万円+180万円+120万円=360万円を受け取ることができるのですから)。
なお、労災保険は会社が提出資料も多いため、不慣れな会社では手続の面倒さなどから、勤務先から労災保険の使用自体を嫌がられることもあります。
また、後遺障害の認定は労災保険の管轄が厚労省、自賠責保険の管轄が国交省と縦割りになっているため、それぞれ行う必要があります。
交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。