慰謝料

交通事故で通院中、ポリネックを装着。慰謝料で斟酌されるの?

  • 更新日:2022.10.13
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故で通院中、ポリネックを装着。慰謝料で斟酌されるの?

Question

福岡県豊前市で追突事故にあいました。レントゲンをとったのですが骨折は無く、頸椎捻挫と診断されました。
 入院はしなかったのですが、首がすごく痛くて日常生活に差し支えたので、医師の指示でポリネックを1ヵ月間はめて自宅で過ごし、通院治療を受けていました。
 ポリネックをはめていたことは慰謝料算定で考慮されるのでしょうか。

追突事故

慰謝料算定の際の修正要素とは

Answer

Q&A「傷害(入通院)慰謝料はどんな風に決まる?」の欄で紹介したとおり、傷害慰謝料は①入院か通院か②他覚的所見を伴うか伴わないか③治療期間の長短、の組み合わせで決められています。

 その①について<ギプス固定中など安静を要する自宅療養期間は、入院とみることがある>と、入院していなくても入院と同様に扱うことが許容されています。これは自賠責の損害調査関係規定集 本編(第3編‐78、非公刊)で、慰謝料算定の際の修正要素として挙げられている点に言及したものです。

 では、修正要素に該当するギプスとはどういうモノを指し、また、どの部位に装着した場合に修正要素として斟酌されるのでしょうか?
これについて、上記第3編-78は次のように解説しています。

ア:原則 次の部位の骨折に対する装着
*長管骨(上肢では上腕骨・橈骨・尺骨、下肢では大腿骨・脛骨・腓骨)
及び脊柱
*三大関節部分(上肢では肩関節・肘関節・手関節、
下肢では股関節・膝関節・足関節)。
ただし、長管骨を含め装着した場合に限る
*肋骨および胸骨。ただし、大幹部に装着した場合に限る。

イ:例外
上記部位の脱臼・捻挫・靭帯損傷・腱断裂・腫脹に対する装着については、
日常生活への影響の程度を勘案し、実態に応じ個々に判断する。
 また、上記部位以外の骨折に対する装着も同様とする。
ただし、手指又は足指のみの装着は修正要素に含まない。

 ここでいうギプスには次のAを指し、Bは該当しない。
A:ギプスシーネ、ギプスシャーレ、シーネ固定、創外固定器、PTBキャスト、
三内式シーネ。
なお、PTBブレ―スは下腿骨骨折で骨ゆ合に至るまでの間、医師が
装着を指示した期間の範囲でギプスとして取り扱う。
B:ポリネック、頸部コルセット、クラビクルバンド(鎖骨骨折固定帯)、
バストバンド(肋骨固定帯)、サポーター。
おしなべて装具脱着が容易なものはここでいうギプス扱いしない(解説終)

 ですからQのケースでいうと、骨折していない脊柱部への装具装着ですけれどもポリネックにとどまることから、はめていなかった場合に比べて慰謝料算定の際に入院と同視する扱いは難しいということになります。

ポリネック

ケースによっては慰謝料を加算?

 とはいえ、入院慰謝料を通院慰謝料よりも高額に評価する所以は、入院生活により日常生活に大幅な行動の制限を受ける点を評価したためですが、脱着が容易な装具かどうかという類型一般をもって入院生活と同程度の苦痛と評価してよいかという考え方はスッキリしてはいますけれども、ケースによってはたとえ脱着がさほど困難でない装具であっても、日常生活への影響の度合によっては例外的に装着していない場合と比較して、慰謝料を加算してしかるべきケースもあってよいのではないかと思います。

交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、菅藤法律事務所にご相談を

 交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

お問い合わせリンク


ページトップ