慰謝料
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慰謝料
私は福岡県田川郡大任町に住む70歳の祖母です。先日、横断歩道を歩いていた6歳の孫が、脇見運転のクルマにひかれて、交通事故当日に亡くなってしまいました。
お孫さんのご逝去に謹んでお悔やみ申し上げます。
民法は被害者死亡の場合、被害者の父母・配偶者・子は、加害者に慰謝料請求できると定めています(民法711条)。
かつては、権利主体である被害者本人が死亡した以上、死者が慰謝料を請求できるはずはないから、被害者の遺族だけが加害者に慰謝料請求できる権利主体であって、それを示したのがこの民法711条であるという解釈もありました。
がその後、死亡した被害者本人もまた、ことさら無念であるなどと意思表明せずとも、交通事故の瞬間に当然に加害者に対する請求主体として慰謝料請求権を取得し、かつ、死亡によりこの慰謝料請求権は法定相続されるという解釈を採用することが明言されました(最高裁1968/5/28判タ223号151頁)。
この最高裁により、被害者の父母・配偶者・子は、被害者本人から相続する死亡慰謝料とは別に、民法711条により固有の慰謝料を併存して取得できるという帰結が導かれます。
ただし、相続人が被害者本人から相続した死亡慰謝料と、民法711条による固有の慰謝料を意識して区分して請求した場合と、区分せずに一括して請求した場合を問わず、同一の金額を査定すべきものと扱うのが賠償実務です。
例えば、交通事故で夫が死亡したときに残された妻と子供1人が、加害者に死亡慰謝料を請求する場合、全て一括して慰謝料A円と請求する場面と、夫の死亡慰謝料がa円+妻の固有の慰謝料がb円+子供の固有の慰謝料がc円と区分して請求する場面を比較した場合、賠償実務の過程でA=a+b+cとなるように調整されるということです。
さて相続人が被害者本人の死亡慰謝料を相続できるのなら、相続人にとって民法711条をわざわざ使う必要はないのでは、という指摘も考えられますが、前記最高裁がでたのちの解釈では、民法711条が存在することでそこに列挙された者にとっては、固有の精神的苦痛を被っている事情を証明する手間が不要になるという法律効果があると言われています。
では逆に民法711条に書かれていない人物、例えば、死亡した被害者の兄弟姉妹だったり祖父母や孫は一般に法定相続人にはならないけれども、それらの人は加害者に固有の慰謝料請求をできないのかという点が問題となります。
最高裁は、民法711条は固有の慰謝料請求権者をそこに列挙されている者に限定したものでなく、被害者との間に民法711条所定の者と実質的に同視すべき身分関係が存在し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者は、民法711条の類推適用により固有の慰謝料を請求できると宣言しました(最高裁1974/12/17交民集7巻6号1612頁)。
この最高裁の事案では、長年にわたり被害者と同居して被害者の庇護のもとに生活を維持してきた身体障害者である被害者の義妹からの固有の慰謝料請求を肯定しました。
また、Qの事情がある事案で、祖母にも固有の慰謝料請求権があるという判決が出ていますし(東京地裁1967/11/20判タ215号115頁)、内縁配偶者にも固有の慰謝料請求権があるという判決も出ています(東京地裁1968/12/10判時544号3頁)。
そのほか、死亡した被害者の兄弟姉妹が、被害者の交通事故の瞬間を目撃したことで甚大な精神的苦痛を被ったとして、兄弟姉妹に固有の慰謝料を是認した水戸地裁2007/5/24交民集40巻3号666頁、秋田地裁2007/7/5判時1982号136頁もあります。
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