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入通院慰謝料の裁判基準と自賠責基準計算ではどのくらいの差が?

  • 更新日:2024.6.7
  • 投稿日:2023.12.8

宗像交通事故 自賠責保険Question
宗像交通事故 自賠責保険イメージ
福岡県宗像市の宗像大社で交通安全のお参りをした帰りに追突事故に遭いました。わざわざお参りしたのに全くついてないです。弁護士費用特約はつけています、事故に遭遇したのは2023年6月のことでむち打ち症です。
交通事故にあったことある知り合いから「自賠責保険でもきちんと慰謝料も支払われるので、裁判とか弁護士とかわざわざつけなくてもいい」と言われました。
他方、ネットの情報だと慰謝料には自賠責基準と裁判基準があって、けっこう差がでるから費用面で心配なければ弁護士に依頼するべき」と載っています。
実際の所、裁判基準と自賠責基準はどのくらい差がでるか数字で示してもらえませんか。

自賠責基準の計算:通院日数別ケース

宗像交通事故 自賠責保険Answer
むち打ち症の場合の慰謝料の裁判基準には、赤本別表Ⅱというものが使われています。赤本別表Ⅱで検索すればインターネットですぐにみつかりますので、ここでは赤本別表Ⅱの内容自体の解説は省略させていただきます。

他方、自賠責基準の計算方法は、1日あたり4300円、乗じる日数は実際の通院日の2倍あるいは治療期間の総日数のうちいずれか小さいほうとなっています。それでは通院のみの幾つかのケースに分けて、それぞれどのくらいの差がでるのかあてはめてみましょう。

ケース1
治療期間:1カ月30日間、実際の通院日数8日
裁判基準:19万円
自賠責基準計算:4300円×8日×2=6万8800円

ケース2
治療期間:1か月30日間、実際の通院日数24日
裁判基準:19万円
自賠責基準計算:4300円×30日=12万9000円

ケース3
治療期間:3か月90日間、実際の通院日数24日
裁判基準:53万円
自賠責基準計算:4300円×24日×2=20万6400円

ケース4
治療期間:3か月90日間、実際の通院日数72日
裁判基準:53万円
自賠責基準計算:4300円×90日=38万7000円

ケース5
治療期間:6か月180日間、実際の通院日数48日
裁判基準:89万円
自賠責基準計算4300円×48日×2=41万2800円

ケース6
治療期間:6か月180日間、実際の通院日数144日
裁判基準:89万円
自賠責基準計算:4300円×180日=77万4000円

ケース7
治療期間:1年間360日、実際の通院日数96日
裁判基準:119万円
自賠責基準計算:4300円×96日×2=82万5600円

ケース8
治療期間:1年間360日、実際の通院日数288日間
裁判基準119万円
自賠責基準計算:4300円×360日=154万8000円

自賠責基準の計算:通院日数別ケースのまとめ

ケース1とケース2、ケース3とケース4、ケース5とケース6、ケース7とケース8を対照すると、それぞれ同じ治療期間であっても通院頻度によって自賠責基準では差が出てしまうのに対し裁判基準では通院頻度による差は生まれないことがわかります。あまりに通院頻度が低いときは裁判基準でも通院頻度を斟酌して慰謝料を減額する措置もあるのですがあくまで裁判基準で通院頻度を斟酌するのはそういう例外的場面に限定される扱いがとられています。

ケース2とケース4とケース6とケース8について自賠責基準計算は裁判基準に比べてどのくらいになるのか比率を対照すると、ケース2は68%、ケース4は73%、ケース6は87%、ケース8は130%となっています。つまり治療期間が長くなればなるほど自賠責基準と裁判基準との乖離は縮まっています。その理由は、裁判基準では治療期間が長くなるほど慰謝料のあがるカーブの傾きが緩やかになっているからです(専門用語で漸減していると言います)。

では「たとえばケース6では相手損保が回答してきた裁判基準の8割で和解交渉をまとめるよりも、自賠責に慰謝料を請求するのがより高い補償が得られるのではないか」「たとえばケース8では裁判せずに自賠責に慰謝料を請求するのがより高い補償を得られるのではないか」、そういうふうに思ってしまう被害者のひともいらっしゃいます。

しかし残念ながらこのような考えは、自賠責基準計算で算出された額のとおり自賠責保険から支払ってもらえる場面というのは、慰謝料のみならず治療費や休業損害を含めた総損害が自賠責保険の120万円の枠にとどまるときだけであることを失念した机上の空論と言わざるを得ません。慰謝料のみならず治療費や休業損害を含めた総損害が自賠責保険の120万円を超える場合では慰謝料の計算方法は自賠責計算基準に拘束されない運用になっているからです。

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