LAC弁護士費用(第7回)~日弁連委員会ニュース2018年5月号

Question

受任前に、後遺障害等級12級の認定を受けた依頼者が、相手損保から、後遺障害による労働能力喪失期間は10年間であるとして、逸失利益と後遺症慰謝料について合計500万円の和解提示書面(自賠責の224万円含む)を受け取っていました。
 診断書などを確認したところ、喪失期間を限定する合理的理由はないと考えられましたので、計算結果に基づいて1200万円の請求をすることにしました。
 なお、相手損保からの提示書面には【任意の和解としての提示であり、訴訟に移行した場合にはこの限りではない】旨が記載されています。
 今後、訴訟提起の可能性もあるのですが、着手金の基礎となる経済的利益についてどのように考えるべきでしょうか?

Answer 事前提示が維持されている段階、すなわち、任意交渉段階では、請求額1200万円全額を経済的利益とすることはできません。このような場合、いったん事前提示額500万円を控除した残り700万円を経済的利益として着手金を請求してください。なお、事前提示額は自賠責部分224万円を上回っているので、重ねて自賠責部分を控除する必要はありません。
 交渉が決裂して訴訟に移行し、相手損保が請求棄却を求める答弁をした場合には請求額1200万円まるまるが経済的利益となりますので、1200万円を経済的利益として計算した着手金との差額を追加着手金とするか、あるいは、事件終了時に確定した経済的利益により計算した着手金との差額を報酬金に加算して請求することができます。
 ただし、相手損保が形式的に請求棄却を記載したとしても、請求原因の認否において、実質的に事前提示額の範囲で損害の発生を一部自白している場面では、その自白している部分の金額を1200万円から控除した金額が経済的利益となります。
 同じ議論は、事前交渉で被害者の過失を20%、裁判に移行した際には被害者の過失を50%と相手損保が対応を変更してきた場合にもあてはまるといえますね。