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日本弁護士連合会(この組織は日本に1つしかありません。日本の全ての弁護士が加入義務を課せられている団体です。通称は日弁連です)では、さまざまに細分化された法律分野で高度な知識を習得させ、弁護士の専門性を強化することを目的として、毎年夏に、九州にいるたくさんの弁護士が集まって(コロナ禍のいまはオンライン形式で)、専門研修を実施しています。
令和元年、私は日弁連から講師指名を受け、2019年7月26日、福岡市内にある福岡県弁護士会館で《交通事故の被害者側代理人が知ってお得な経験知識》という演目で、弁護士向け交通事故専門研修の講師を務めました。その講義内容は、日弁連研修叢書現代法律実務の諸問題令和元年度研修版に収録され、福岡市内でライブ講義を聞くことができない全国の弁護士が仕事を進める際の参考資料として利用できる形に製本されています。
まず、弁護士向け交通事故専門研修の講義では、弁護士が交通事故事件を引き受ける時期それぞれで被害者のために助言できる内容などに違いがでるので、交通事故から1か月以内、治療途中で相手損保から打ち切り打診されたとき、主治医から症状固定だと言われ後遺症申請を行うとき、相手損保から金額提示文が届いたとき、細かく区分けして説明しました。死亡事故の場合には、ご遺族は相手損保との賠償交渉意外にさまざまな用務に追われて疲労困憊することが珍しくないので、交通事故から1か月以内の相談というのがよいと思います。
ここ数年は、弁護士費用特約の普及とスマホ利用者がほとんどであるせいで、弁護士への相談時期は昔よりも早まっている印象です。交通事故をたくさん扱った経験からも、治療方針の選択など時間が経てば経つだけ選択肢は狭まりますし時を戻すことはできませんので、交通事故被害者からの相談や依頼は早いに越したことはないことを、ここでも皆様に強調させていただきます。
また、相手損保からの打ち切りもかつてに比べると治療開始から非常に短期で打診されるようになりました。打ち切りを打診された場合に、あわてて治療を終了するのでなく、あるいは、症状が残っているからと意固地に相手損保の担当者を押し切ろうとするのでなく、臨床医学に照らして合理的な対応をする必要があります。一口に弁護士といっても、交通事故被害者からたくさんの依頼を受け、いろんな損保会社を相手に交渉した経験の有無によって対応が異なってきてもおかしくない場面です。
その際に、病院そのものを転医するのが好ましいかという相談を受けることもあります、転医にはタイミングによりメリットデメリットがありますので、交通事故被害者の置かれている状況を踏まえて、ケースバイケースで適切なアドバイスをする必要があると講義しました。
症状固定となり後遺症申請を行う場合も、昔は後遺障害診断書だけ取り付けて相手損保に渡し相手損保のほうで自賠責に申請してもらう事前認定のスタイルがスタンダードでしたが、相手損保を介さず直接自賠社に提出する被害者請求スタイルのほうが手間はかかっても後遺症認定の確率を向上させるように交通事故に強い弁護士の経験から得られる感触です。そういう交通事故被害者にとって好ましい現象が起きる理由を、後遺症申請に強い弁護士として専門研修で披露させていただきました。
それから、自賠社の後遺症審査に不服がある場合に交通事故被害者がとることができる手続が複数あること、それぞれ費用や確率の点で違いがあることを、私が過去にたくさん扱ってきた交通事故事案処理を踏まえて講演しました。
福岡や九州にかぎらず日本には交通事故を取り扱う弁護士は何万人もいますが、その中から交通事故に強い弁護士として日弁連に専門研修の講師に指名され、何十年にもわたる過去の知識経験を体系的に組み立てて、多くの弁護士に向けて講演する機会を与えてもらったことは非常に貴重な経験でした。その経験を通じ、さらに交通事故被害者のために懸命に仕事をこなしていこうという決意を強くした次第です。