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私(ご遺族)にとって今回の交通事故の裁判は大変うれしい結果となり、先生には大変感謝しています。ありがとうございました。事務所の電話接客は大変丁寧で、感じの良い事務所でした。
事故態様は、信号機のない丁字路交差点の横断歩道を、昼間に徒歩移動していた80代女性が、前方左右の安全確認不十分なまま直進進行してきた自動車にはねられて、かつ、そのまま自動車に轢かれたというもので、被害者は、不安定骨盤骨折や後腹膜出血等の怪我による外傷性出血性ショックにで、事故同日に亡くなられました。悲惨な事故だったため、テレビなどでニュース速報されました。
ご遺族からご相談いただいた時期は、刑事裁判が行われる前でした。ご遺族に、刑事裁判の開始に関する検察庁からの通知が届いており、既に刑事裁判への参加申請をご遺族のほうで勧めており、開示済みの記録を一度閲覧した状況でした。
ご遺族の意向は主に2つ、かけがえのない何の非もない被害者の命を奪ってしまった加害者を厳罰に処するために刑事裁判でどう追及していくべきか、そして、民事では加害者に代わって損害の賠償を担当する損保会社から適正な賠償金を獲得してほしいというもので、いずれについても交通事故を取り扱った経験の豊富な弁護士の技量を駆使してほしいというものでした。
そこで、ご遺族のうち法律上の賠償請求権を有する法定相続人が誰であるかを確定させたうえで、刑事事件を先行させ、その解決後に民事賠償を図るという手順でご依頼いただきました。刑事事件を先行させる理由は、加害車両の速度やどの位置で被害者の存在に気づいたか等の、犯情を確定させてはじめて、民事賠償の際に加害者の責任を一般的な類型を超えて厳しく追及できるかが左右されることが少なくないからです。
まず刑事裁判への参加にあたって、検察官と質問事項などを打ち合わせるにも、弁護士は提出証拠を確認する必要があります。
本件では、検察庁で開示された証拠を詳しく検討すると、加害者はこれまでにも当該事故現場を何度も通過したことがありその際に歩行者の横断のために事故が発生したその横断歩道手前で停車したことがあり横断歩道の存在に気づいていたことに言及され、さらに、加害車両の後方にいたタクシーやバスのドラレコ画像に悲惨な本件交通事故の瞬間が偶然撮影されていたことで、加害車両が被害者にぶつかってもすぐにブレーキを踏まずにそのまま被害者に乗り上げ、衝突地点から40mも離れた位置でようやく停止したことが判明しました。
このため、ご遺族は「衝突にすぐ気づいて乗り上げたりしなければもしかして命だけでも助かっていたのでは」とはなはだしい憤りを示されました。そのほか、加害者は、本件事故前にも複数回交通違反で検挙された事実も明らかになりました。
弁護士菅藤は、これら判明した事実を踏まえ、担当検事とのそれぞれの質問事項のすり合わせのためにご遺族と共に検察庁へ赴くほか、被害者遺族からの求刑や刑事公判で読み上げる意見書をつくりあげ、準備漏れのないかたちで刑事公判に臨みました。
刑事公判では、検察官に加え、被害者遺族代理人である弁護士自らも加害者への質問を行い、ご遺族に刑事公判で意見書を読み上げてもらいました。刑事公判の結論としては、ご遺族の希望は強かったのですが、加害者が初犯ということで、同種事案の量刑傾向を考慮し、実刑ではなく執行猶予付きの禁固刑が言い渡されました。刑事判決後には、命を奪っておきながら牢屋に入らずに済む量刑は納得できないということで、控訴してほしいと担当検察官とも協議したのですが、控訴稟議はおりないということで、刑事公判は控訴なく終結しました。
刑事判決が確定後、加害者の加入する相手損保との間で賠償交渉を開始しました。法定相続人は同居の長男おひとりでした。当方は葬儀関連費用・逸失利益・死亡慰謝料・被害者のご遺族の駆けつけ交通費を賠償請求しました。
相手損保も弁護士をつけてきましたが、被害者が80代女性だからと、裁判基準に照らしても全ての項目で非常に低い回答をしてきました。ご遺族には被害者に非がないにも関わらず全く誠意が感じられないものでした。そこで、ご遺族と協議し、民事訴訟に移行しました。
民事裁判でも、相手損保の弁護士は、裁判例を使って自己の主張を根拠づけようとしてきましたが、弁護士菅藤もまた、当方に有利な裁判例を突きつけました。
そのほか、供花代や親族の移動交通費に関しては、親族が急逝したときに妻子以外の親族が葬儀などに駆け付けるのはごく自然な行動であること、交通費を要した親族は法定相続人ではない被害者の孫らであるが、本件では孫らが幼い頃から被害者が母親同然のように世話してくれていたという事情があり、その事情等も考慮すると被害者の葬儀に駆け付けることは自然であり、その際に遠方に住んでいることから移動費がかかることを、説得的に展開していきました。
逸失利益については、被害者は80代女性ながら、同居する法定相続人と2人暮らしで家事全てを担っており、料理も凝っており全く健康に問題なかったことから、その家事労働を金銭評価して算定すべきと主張しました。
民事裁判では、葬儀関連費用・お供えのお花代、書類取得及び送付費用についても、被害者の死亡に伴って生じた必要な出費であるとし、当方の請求額とおりの実費全額、さらに、親族の移動交通費についても四十九日法要に係る費用も含め全額の認定してもらいました。そのほか、逸失利益や死亡慰謝料でも当方の請求額を勘案してもらい、裁判官からの和解勧試を受けて判決でない形で解決しました。