交通事故に強い福岡の弁護士の独白~自動車保険の中身にご用心

交通事故に強い福岡の弁護士の独白~自動車保険の中身にご用心

日本での自動車保険の自由化は1998年(平成10年)に始まりました。

  自由化が始まる前は、損保会社が扱う任意保険は、商品の品ぞろえも保険料も全て横並びでした。次のⅠ~Ⅲがその時代の横並びの基本セットといえます。

Ⅰ、対人賠償・対物賠償という事故の相手に対する基本保障
Ⅱ、自損事故保険・搭乗者傷害保険・無保険車傷害保険・車両保険という
自分や同乗者に対する基本保障
Ⅲ、それに運転者家族限定とか21歳未満不担保といった細かい特約

    それが、自動車保険自由化により、弁護士費用担保特約・人身傷害保険特約・ゴールド免許割引・通信販売やインターネット販売のみ扱う会社の新設、各会社ごとに同じ商品名を使っていても保険料や商品の品ぞろえが異なるという事態が当たり前になってきました。

消費者の選択が広がったからいいことじゃないか、間違いなくその指摘は一面正しいでしょう。消費者がしっかり契約内容を比較対象できるのであれば。
しかし、たくさんの交通事故の相談を通じて、一見安い保険料や損保会社のCMにばかり目を奪われ、いざ交通事故に遭って弁護士に相談や依頼しようと自分の自動車保険を見直したときに、その内容が自分を守ってくれない内容になっていることに直面するケースが散見されます。
ここで1度、ご自分の自動車保険の中身を見直していただくべく、損保会社名の摘示は避けますが、用心すべき場面を幾つか私見で披露させていただきます。

1、弁護士費用特約で「弁護士相談のみ担保」となっている
相談だけで解決するケースなら今どきインターネットで事足りるケースが多いです。弁護士費用特約の肝は、保険料が格安な割に(上限額はありますが)弁護士を依頼した際の手出を避けられることにあるのです。
ですが、弁護士を依頼した際の費用負担特約をオプションで申し込まないと、単に法律相談料しか損保会社に負担してもらえないというパッケージを、大々的にセールスしている損保会社があります。

2、人身傷害保険などで「搭乗中のみ補償」となっている
交通事故の被害に遭うのは、車に乗っているときだけとは限りません。自転車を運転しているとき、歩道を歩いているとき、いろんなケースがあります。
特に人身傷害保険は被害者の過失部分も含めて補填することが可能な商品ですので、交通事故の被害者にも落ち度がある場合、重傷であればあるほど、これを使えるかいなかは受け取れる補償額に大きく影響してきます。
にもかかわらず「搭乗中のみ補償」という条件が付されていると、その分保険料は安くなっているのですが、交通事故に遭うときは常に車に乗っているときとは限らない以上、より重傷に遭いやすい、身体が外部に露出している場面で人身傷害保険が利用できないことになってしまうのです。
インターネット販売や通信販売の損保会社の多くは、原則としてこの限定を付して、その分、保険料を安くしているので、注意が必要です。むろん、従来型の代理店を置く損保会社も保険料を安くするパッケージとしてこの限定を付していることも珍しくなくなりました。

3、人身傷害保険だけで搭乗者傷害保険が廃止されている
搭乗者傷害保険というのは、自動車搭乗中に交通事故で怪我を被った場合、保険証券で定めた金額(部位払だったり日額払だったりしますが)を、自分の損保会社から支払ってもらえる保険です。

    それなら人身傷害保険と一緒じゃないか?と思われますが、人身傷害保険は本来なら加害者が支払う分を被害者の過失部分に優先的に充当できる形で代わりに支払うという保険です。
   これに対し、搭乗者傷害は加害者の支払う分とは関係なく定額を支払い、しかもその分、加害者から支払ってもらう金額が目減りすることもないというものです。

人身傷害保険と搭乗者傷害保険は似て非なるものなので、両方あっても別に問題ないのですが、損保会社は両方を支払うことになることを避けるためか、搭乗者傷害保険を次々と廃止しているようです。
しかし、搭乗者傷害保険は人身傷害保険に加えて、入っておいて損はない保険です。人身傷害保険の創設を隠れ蓑に搭乗者傷害保険を廃止するいまの方向は、自動車保険自由化前と比べると被害者にとって改悪ではないか?という思いを禁じ得ません。

4、無保険車傷害保険の支払基準が「人身傷害で補償」となっている
無保険車傷害保険とは、運悪く加害者が自賠責保険や人身傷害保険に加入していなかった場合、後遺障害が残存する重い怪我であることを条件に、加害者の代わりに自分の損保会社から支払ってもらえる保険です。
自動車保険自由化前は、無保険車傷害保険の支払基準は加害者が支払うべき金額と同額すなわち後遺症慰謝料など裁判所が命じた支払金額を払ってもらえる形で横並びになっていたのですが、最近は、人身傷害の基準しか支払わないという約款を採用している損保会社が増えつつあります。
  同じく無保険車傷害保険という名称でありながら、裁判所が支払を命じた金額の慰謝料を支払ってもらえるA損保の場合と、損保会社の定めた約款の基準額の慰謝料しか払ってもらえないB損保の場合と、約款の文言によって被害者が現実に回収できる金額が変わってくるのです

特に通販系やインターネットの損保会社の場合、年1回の更新の機会しか自動車保険の内容を見直すチャンスがありません。
誰がいつ交通事故に遭ってもおかしくない今、備えは大事ですから、この記事を読まれた方は、ぜひこの機会に自分の加入している自動車保険の重要事項説明書を見直してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせリンク


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

tel-001