物損

車のキズで慰謝料も請求できる?

  • 更新日:2023.4.12
  • 投稿日:2016.4.25
大のお気に入りのスカGTをショッピングモールに停めていたら、車庫入れのミスでキズをつけられた。修理代は保険で払うと言っているが、スカGをキズモノにされた俺の心のショックは半端ない。慰謝料も払ってもらわないとマジ納得できないんだけど?
つい交通事故の被害者の気持になり、くだけた表現になってしまいました。
民法710条では、他人の身体・自由・名誉を害した場合も【財産権】を害した場合も等しく財産以外の損害を支払うべきと定めています。
ですから、この条文の文言からは、身体の怪我であろうと物の損壊であろうと等しく慰謝料の支払を命じることができそうです。

慰謝料が請求できないことも?

 しかし、物の損壊しか被害がなく怪我を伴わない場合には、通常は、被害者はその物の時価や修理代にみあう適正な損害額を補填されることによって、財産権の損害に伴い被った精神的損害も同時に回復されると評価すべきとして、特別の事情がない限り、被害者は慰謝料を請求できないとされています(東京地裁平成元年3月24日交民集22巻2号420頁)。

 今回の被害者の場合、たしかにレアなネオクラシックカーであるスカイラインGTにキズをつけられた精神的ショックが大きいことは理解できなくもないのですが、よほどの事情がない限りは、そのスカGの時価もしくは修理代のうち低い金額を賠償されたときは、そのほかに慰謝料を請求するのは難しいと思われます。

慰謝料

特別な事情で認められた例

 なお、特別の事情の例として、前記東京地裁は
①目的物が被害者にとって特別の愛着をいだかせるようなものであることを一般人も社会通念に照らして共感できる場合
②不法行為が積極的な加害意思を伴うなど被害者に精神的打撃を与えるようなやり方でなされた場合
の2つをあげています。

実際にどのようなケースで特別の事情が認められたかについては、(その1)(その2)(その3)で説明します。

裁判所

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この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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