治療費など費用

交通事故で歯を破損、インプラント治療費は全額賠償してもらえる?

  • 更新日:2018.5.2
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故で歯を破損、インプラント治療費は全額賠償してもらえる?

Question

私が福岡市早良区で自転車に乗っていたとき、交通事故に遭いました。
脇見運転のクルマにぶつかられ、顔面から地面に崩れ落ち、上下のあごを骨折しただけでなく、8本の歯が折れてなくなってしまったのです。
歯科医からはインプラント治療が審美性・機能性ともに優れていると勧められたのですが、相手の損保会社からはブリッジ義歯で対応できるからインプラントを選択してもその治療費は自己負担になると言われて困っています。インプラント治療費は加害者に全額請求できないのでしょうか?

Answer

歯科インプラントとは、チタン製の人工歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人口の歯を固定するという治療方法です
特徴として、あごの骨にしっかり結合されるため自分自身の歯に近い噛み心地を回復させることができる、自分自身の歯に近い見た目を作りだせる、周囲の歯を削ったり土台として使わないので残った他の歯に負担をかけない、というメリットがあげられています。

従来からの治療法である入れ歯やブリッジに替えて、インプラントを希望する交通事故被害者やそれを勧める歯科医も増加しているのですが、歯科インプラントは健康保険適用対象外であること、手術を伴い治療期間が長くなりがちであること、治療費が高額になり審美性を優先する治療方法であることから、歯科インプラントは機能回復にとって必要十分な治療範囲を超えており、健康保険を適用できるような、例えばブリッジ義歯の治療費相当額しか賠償できないと言われることがあります。

 裁判例では、歯科インプラントが医学的に必要であること、かつ、他の治療法よりも歯科インプラントを選択することが医学的に合理的であることを被害者側のほうで証明できていることを加害者への賠償請求の条件としているようです(大阪地裁2007/12/10自保ジ1737号14頁、東京地裁2010/7/22自保ジ1831号49頁、横浜地裁2003/8/22自保ジ1547号14頁、名古屋地判2006/11/30自保ジ1992号113頁)。

 つまり、交通事故の被害者が欠損した歯の治療としてインプラントを選択したいならば、主治医である歯科医に、歯科インプラントを選択することが審美性以外の機能の観点からも有用であり他の健康保険適用対象である方法では相応しくないことを、医証などにより証明してもらうことが必要になります。

 交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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