お得な交通事故マメ知識

自転車は横断歩道の上を通って横断してはダメ?

  • 更新日:2023.11.6
  • 投稿日:2016.4.25
信号機のない交差点で、横断歩道を自転車に乗ったままわたっていたら、直進してきたクルマにぶつけられ、軽い怪我のほかに、自転車を壊されました。
加害者の損保会社から「横断歩道を自転車に乗って渡る場合、歩行者と違って過失相殺されます。」と言われました。 普通にみんなやってる渡り方だし、過失があると言われても納得できないんですが?
自転車は軽車両に該当します(道交法2条1項11号)。 軽車両は、歩道又は路側帯と車道が区別されている道路では、車道を通行しなければなりません(道交法17条1項本文)。

自転車の交通事故でお困りでしたら一度お気軽にご連絡ください

私が交通事故に強い理由

  • 高い専門性

    高い専門性

    特に、重度後遺障害の案件ほど、それらの専門知識の組み合わせにより、弁護士次第で獲得できる賠償金額が大きく変わってきます。

  • 豊富な実績

    豊富な実績

    交通事故案件について私と同じ年数を重ねて同じ分量を取り扱ってきた弁護士は、余り(特に九州山口のほうには)いないのではないでしょうか。

  • 責任持って対応

    責任持って対応

    菅藤法律事務所では、私自身が責任をもって全ての交通事故案件を対応させていただいております。

  • 日々情報更新中

    日々情報更新中

    論文集の数行の記載から裁判例を探り出して、自己の主張の根拠づけに利用したことは何度あるかわかりません。

自転車が普通に歩道を走行しているのは違法なのか?

じゃあ、自転車が普通に歩道を走行しているのは違法なのかっていえば、そうではありません
自転車は軽車両なんですが、例外的に、

①自転車通行可の道路標識がある場合
②自転車の運転者が13歳未満もしくは70歳以上、または、身体障害者の場合
③車道又は交通の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ない場合

には歩道を走行してよいことになっています(道交法63条の4第1項、道交法施行令26条)。

普通に自転車が歩道を走行しているのは、軽車両として車道を走行していたらクルマにとってかえって危ない状況を生むことになるので、クルマの通らない歩道をやむを得ず通行しているという考え方を採用しているのです。

横断歩道も歩道の1つだから、そこを通っても何の問題もない?

じゃあ、横断歩道も歩道の1つだから、そこを通っても何の問題もないのではないかと思われるのですが、これまた、そう単純ではなりません
(私は、正直、道交法の規程不備なのではないかと思っているんですが)。

横断歩道は、【歩行者】の横断の用に供するための場所であることが示されている道路の一部と定義されています(道交法2条1項4号)。
たしかに、自転車から降りて押して歩いている場合には歩行者とみなす(道交法2条3項2号)ことになっているのですが、逆にいえば、自転車に乗って動いている者はあくまで歩行者扱いを受けないことになります。
横断歩道を渡る自転車

そこから考えると、横断歩道を自転車が横断するのは、歩行者のために用意された場所を、歩行者にあたらない自転車という存在が使っているということになります

自転車横断帯があるとき、自転車は自転車横断帯を使って道路を横断しなければならない

ちなみに、自転車横断帯(=横断歩道の脇に二重線が引かれて、その間に自転車のマークが書かれていることがありますよね)があるとき、自転車は自転車横断帯を使って道路を横断しなければならないとされています(道交法63条の6)。
私が道交法の規程不備ではないかと指摘しているのは、横断歩道はあっても自転車横断帯がない場合に、自転車は横断歩道を使うべきか使うべきでないかが法律の中に明記されていない点です。

ようやく、道交法施行令2条の歩行者用信号の欄に《横断歩道を進行しようとする普通自転車は》《普通自転車は、横断歩道において直進をし》という記載が平成20年改正で採用されたことから、法律は自転車が横断歩道を使って横断することを許容しているのだろうなあと読み取れるようにはなりました。

Qの回答:自転車が横断歩道を横断している場面で、クルマとの関係では、自転車横断帯を自転車で通行している場合と同程度に保護

長々と前提となる法律の説明が続きましたが、ようやくQの回答に入ります。
横断歩道を自転車で横断するのは皆やっているのですが、横断歩道はそもそも歩行者のためのもので自転車のためのものではないので、交通事故が起きた場合にクルマとの関係で歩行者と同程度の厚い保護を及ぼそうという発想が道交法の中にありません。

そのため、自転車が横断歩道を横断している場面で、クルマとの関係では、自転車横断帯を自転車で通行している場合と同程度に保護しようというのが実務の一般的傾向です(具体的には、交通事故赤本の中では、自転車が横断歩道を通行するときは車両の方で注意を向けてくれていると信頼することが通常だからと、自転車で自転車横断帯を走行する場面と同程度の斟酌がなされています)。
自転車横断帯

この場合、歩行者が横断歩道を横断しているときにクルマにより交通事故被害に遭わされた場面とまったく同じ割合で保護していないのは、人の載った自転車は軽車両であり歩行者でもみなし歩行者でもないという価値判断が働いているからと思われます。

自転車で横断歩道を渡っている際、クルマにひかれる交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な知識と実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。


ページトップ