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交通事故の刑事記録、どんなものをどんな方法で取り寄せられる?

  • 更新日:2024.11.19
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故の刑事記録、どんなものをどんな方法で取り寄せられる?

Question

福岡県北九州市小倉南区で交通事故の被害にあい、加害者側から賠償額の提示をうけました。想像以上に私の過失を大きくとられています。
私も警察などが持っている刑事記録を取り寄せて反論したいのですが、どういう記録をどういう方法で取り寄せることができますか?

Answer

刑事事件の捜査でつくられる記録というのは加害者に対する刑事処罰を目的に作成されていることから、損害賠償の交渉という民事事件のために、全ての捜査記録を被害者の求めに応じて開示する制度にはなっていません。
また、刑事事件がどういう段階にあるかによって異なる扱いがされています。

1、物損事故のみの場合
無免許運転や飲酒運転など道路交通法違反の容疑がない限り、単にクルマがぶつかったという物損事件は刑事事件になりませんので、捜査そのものが直ちに終結します。

    物件事故の捜査記録で開示されるのは専ら物件事故報告書です。
その物件事故報告書は交通事故当日、被害者がやっておくべきことで説明したとおり、距離も何も記されていないごく簡単な調査図面にとどまっていることが多いのですが、それでも衝突場所が第1車線上なのか、第2車線上なのか、歩道上なのかなど、警察が事故当日に把握した情報を入手できることもあるので、入手してみる価値はあるでしょう。
この物件事故報告書を入手するには、弁護士会照会又は裁判所からの送付嘱託でなければ応じられないという運用方針をとっている警察署が多いです
ですから、交渉過程で物件事故報告書を入手するには、弁護士へ依頼するか、もしくは、相手方が入手済みであれば任意の開示を求めるのが早いでしょう。  なお、物損事故の場合、弁護士会照会や裁判所からの送付嘱託を使っても、現場での当事者からの聞き取り内容を記録したメモなどは開示しないという運用方針がとられています。


2、人身事故でまだ捜査が終了していない場合
一般に交通事故での捜査は ①交通事故が発生し警察で調査→②検察庁へ送検し追加調査→③検察庁で正式起訴・略式起訴(=罰金)・不起訴の決定→④正式起訴された事件は裁判所で刑事判決、という手順を踏みます。
まだ捜査が終了していないというのは③に到っていない①②の段階にあることですが、一切の刑事記録が非公開扱いです(刑事訴訟法47条本文)。
事故当事者からの請求があっても扱いは変わりません。


3、人身事故で略式起訴(=罰金)・正式起訴され、判決後に確定した場合
交通事故の捜査で③のうちの不起訴決定が出た以外の、④に至った場面を指します。
確定してしまった後は、刑事記録を閲覧することができます(刑事確定訴訟記録法4条)。
加えて、民事損害賠償事件で利用することを申し出て、検察庁の許可を得れば、手数料は申請者負担で謄写も可能となっています。

ただし、実際の謄写手続の進め方は地域ごとに差があるようなので(特に当該検察庁に部外者が利用できるコピー機が置かれてない場合)、弁護士会照会を利用して時間や費用が少し嵩むことになっても差し支えないという方でしたら、賠償交渉を弁護士に依頼した中で、その弁護士に入手してもらった方がよいでしょう。

    入手できる刑事記録の内容は判決や実況見分調書のほか関係者の供述調書や裁判所での証言内容などかなり広範に及びます
同時に、関係者の身元信条や電話番号など、民事損害賠償事件で不必要と検察庁が判断した箇所を墨塗りして開示されることもあります。

4、人身事故で正式起訴されたが判決前でいまだ確定していない場合
これも④に至った場面ですが、被害者とその遺族には、刑事裁判の途中であっても、損害賠償請求のために必要がある場合には、刑事事件の係属する裁判所に損害賠償請求権を行使するために、刑事記録の閲覧謄写を求めることができる制度が設けられました(犯罪被害者保護法3条)。
入手できる刑事記録の内容は、判決以外は3と同じです。

5、人身事故で不起訴になった場合
交通事故の捜査の中で③の中の不起訴に至った場面を指します。
実は、人身事故で不起訴になる割合は人身事故全体の9割近くに及んでいます。 不起訴記録については法務省が運用方針を公開しています。
端的に言えば、原則として実況見分調書しか開示されません
そして、物件事故報告書と同じく、弁護士会照会又は裁判所からの送付嘱託でなければ開示には応じられないという運用方針をとっている検察庁が多いです。
ですから、交渉過程で実況見分調書を入手するには、弁護士へ依頼するか、もしくは、相手方が入手済みであれば任意の開示を求めるのが早いでしょう。

不起訴事案でも例外的に供述調書の開示もなされることがありますが、その例外要件はかなり厳しいです
ただし、私もこれまで民事訴訟の中で数回体験したことはあり、不可能ではないことは間違いないです。

 

    交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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