過失相殺

歩きスマホのとき自転車にぶつかられた交通事故での過失割合は

  • 更新日:2025.9.19
  • 投稿日:2016.4.25
福岡県古賀市の歩道を、左手にスマホを持って人と会話しながら移動していたところ、対向正面から自転車がやってきました。自転車通行可の歩道で、自転車と歩行者の通行区分はありません。 私はそのまま歩いていたら、すれ違う際に自転車の右ハンドルが右手にぶつかり怪我する交通事故に遭いました。自転車は歩道中央から車道寄りとは逆の位置を走行していたことになります。 さいわい自転車は個人賠償責任保険に加入していたので、泣き寝入りすることはありませんでしたが、歩きスマホをしていたため、とっさによけきれなかった私に過失があることになるのでしょうか?

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歩きスマホの事故事例|被害者にも加害者になりうる危険

名古屋地裁2014/12/26自保ジ1941号170頁の参考にしています。そのケースでは自転車運転者は10万円の罰金を受けています。 自転車運転者は「歩行者も対向してくる自転車を認識できていた。にもかかわらず歩きスマホに注意を取られ、前方注視がおろそかになり漫然と歩行していたため本件事故に遭遇したのであるから、幾許かの過失相殺がなされるべき」と主張してきました。

 これに対し裁判所は「歩行者は歩道上において最大限保護されるべき存在である。他方、自転車には歩行者を妨げないよう一時停止義務を負っているほか、歩道を通行する際は歩道中央から車道寄りの部分を徐行しなければならない義務が課せられているところ(道交法63条の4第2項本文)、加害者はそれを怠っている。従って、歩行者に過失相殺が適用される余地はない」と一蹴しています。

 このように、自転車は「車両」という性格を有しているため、エンジンがついていず高速で移動できないことがバイクや自動車とは違うものの、歩道上ではバイクや自動車に匹敵して歩行者保護を徹底しなければならず、民事賠償責任や刑事責任を厳しく問われる存在なのです。
 
 同じ歩道を移動していても、歩行者の飲酒歩行が禁止されているのと異なり、自転車の飲酒運転は検挙されるのも、自転車が「車両」という性格を有しており、歩行者とは同視してもらえない実例の1つです。

 

歩きスマホ

歩きスマホの過失がゼロのまま移行するとは思いにくい時代

 ただ、歩きスマホという行為そのものがマナー違反を超えて、接触事故を惹起しやすい危険を内包するものと携帯電話各社がウェブサイトで呼びかけたり、ACがCMで歩きスマホを辞めるよう啓発している今、交通弱者だから全く過失相殺しないでいいという割り切りには疑問が残ります。

 歩きスマホをしていなければ、歩行者もまた加害車両の接近を認識し衝突を回避することもより行いやすくなるのですから。そう考えると、対自転車の場合に過失割合を1~2割歩行者に講じることも不合理ではないように私個人は思うのですが、今後の裁判例の蓄積に待つのが一番でしょうね。

歩きスマホ事故を防ぐ、歩行者・自転車の具体的対策は

第1、歩行者に対する対策

  1. 歩行中のスマートフォン使用の禁止啓発

    警察は街頭指導や学校・企業での交通安全教室を通じ、歩きながらの画面注視・イヤホン使用の危険性を周知しています。

  2. 横断歩道前での注意喚起

    特に横断直前にスマホを操作していると、信号や車両を見落としやすいため、「立ち止まって操作する」「横断中はスマホを触らない」といった指導が行われています。

  3. 啓発標識や広報活動

    駅前・繁華街など人通りの多い場所で「歩きスマホ禁止」のポスター掲示やアナウンスを実施し、意識づけを強化しています。

第2、自転車運転者に対する対策

  1. 徐行・一時停止の徹底

    警察の巡回指導では「歩行者最優先」の原則を繰り返し周知しており、歩きスマホ中の歩行者を見かけても安全に回避できる速度で走行することを求めています。

  2. ベルの誤用防止指導

    歩行者をどかす目的でベルを鳴らす行為は違反であるため、「徐行・声掛け」で対応するよう日常的に指導されています。

  3. 通行区分の遵守

    歩道では車道寄りを走行し、歩行者との接触リスクを減らすことが強調されます。警察は取り締まりや街頭での直接指導を通じて徹底を図っています。

 まとめますと、警察の指導は「歩行者側のスマホ利用自粛」と「自転車側の歩行者優先走行」という両面から行われています。つまり、歩行者は**「ながら歩きの禁止」を守り、自転車運転者は「歩行者保護を徹底」**することで、相互に事故を防止するようにと仕組まれているのです。

交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。


菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

当サイトでは、長年の経験と実績を持つプロの弁護士だからこそ書ける、信頼性の高い一次情報などを発信しています。

弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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