交通事故コラム

自転車横断帯と追い越しに関する交通事故の法的ポイント

  • 更新日:2025.5.22
  • 投稿日:2025.5.22

自転車横断帯とは?

  自転車横断帯とは、交差点付近や横断歩道の脇などに設けられている、自転車が安全に道路を横断するための専用スペースです。歩行者用の横断歩道とは別に設けられており、自転車が車道を渡る際に優先的に通行することができます。

  しかしながら、すべてのドライバーが自転車横断帯の存在や意味を正確に理解しているとは限らず、その誤認や無視が交通事故の原因となるケースが多発しています。特に、追い越しの際に自転車横断帯上で自転車と接触してしまう交通事故は、非常に危険です。

自転車横断帯と追い越しの関係性

  自動車が追い越しを行う際には、周囲の交通状況を十分に確認する義務があります。とりわけ、交差点付近や優先道路への合流点など、視界が悪く交通が錯綜しやすい場所では慎重な対応が求められます。そうした状況下での自転車横断帯の存在は、ドライバーにとって見落としやすい盲点となります。

  例えば、追い越しの最中に自転車が自転車横断帯を通行していた場合、ドライバーは自転車に対して優先的に道を譲る義務があります。これを怠ると、交通事故の責任を全面的に問われる可能性があるのです。

手前30メートルのルールとは?

  道路交通法第38条では、自動車が交差点に進入する手前30メートル以内の場所では、原則として追い越しを行ってはならないと定められています。これは、交差点における視認性の低さや、突然の飛び出しに対応しづらいといった危険を回避するための重要なルールです。

  特に自転車横断帯が交差点付近に設けられているケースでは、手前30メートルでの追い越しが重大な交通事故を引き起こす要因となり得ます。ドライバーはこの距離感とルールを常に意識しておく必要があります。

優先道路と自転車横断帯の位置関係

  多くの交差点では、優先道路が設定されています。この優先道路を走行している自動車には、交差する道路から進入してくる車両よりも優先的に通行する権利があります。しかし、自転車横断帯においてはこの優先関係が変わります。

  つまり、たとえドライバーが優先道路を走行していたとしても、自転車横断帯を横断しようとしている自転車に対しては、減速や一時停止などの配慮をする義務が生じます。ここでの誤解が、事故の発生原因となることが多いため、特に注意が必要です。

裁判例に見る責任の所在

  いまの裁判所では、自転車横断帯上での事故に関して、自動車側の過失が重く見られる傾向にあります。たとえば、交差点手前30メートル以内での追い越し行為が交通事故に直結したケースでは、ドライバーに全面的な過失が認められ、損害賠償責任が課される判決も出ています。

また、追い越しの際に自転車横断帯の存在を認識していなかったという言い訳は、法的には通用しません。道路交通法においては、「知らなかった」は責任免除の理由にはならないからです。

交通事故の被害者の方へ

 交通事故の被害者となった自転車利用者は、交通事故当時の状況を詳細に記録し、できれば現場の写真やドライブレコーダーの映像を保存しておくことが重要です。自転車横断帯を適切に使用していた事実や、ドライバーが追い越しを違法に行っていた証拠がある場合、損害賠償請求を有利に進めることができます。そして、交通事故後速やかに法律専門家に相談することが重要です。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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