交通事故コラム

交通事故の後遺障害申請にむけてアドバイス

  • 更新日:2023.4.9
  • 投稿日:2023.4.9

  交通事故の被害に遭い怪我をしてしまった際、治療を行うことで交通事故に遭う前と同じ状態まで回復すれば良いのですが、怪我が重症である場合など、治療を続けても交通事故以前の状態まで改善せず、痛みやしびれといった症状や関節の動きに左右さができたり、傷跡が残ってしまうケースも少なくありません。

  交通事故による怪我の治療費は、基本的に加害者の付保する損害保険会社が支払いますが、加害者の付保する損害保険会社も不要な賠償を避けようとするので、被害者が治療を望んでいても、ある程度時間がたつと、治療を続けても症状が改善する見込にとぼしく治療の効果が期待できないと判断して、治療費の支払を打ち切ってきます。

  加害者の付保する損害保険会社の担当から、治療費の支払打ち切りを打診してきたとき、被害者の取れる対抗策としては、治療を継続すれば具体的にまだ症状が改善する余地があるという内容の医証を主治医に発行してもらうことでなお治療を継続を図ることもありますが、他方、主治医が治療終了時期に関して患者の希望と異なっているときは一括終了時に症状固定したものとして、症状が残存しているときは後遺障害を認定してもらうための申請手続きを始めるか、今後の損害賠償請求を見据えて選択していくことになります。

  同じく交通事故による怪我といっても、歩行中に強く自動車にぶつけられた部位を骨折した、自転車を運転中に自動車と衝突して骨折はないが転倒した、自動車を運転中にほかの自動車に追突された、交通事故の状況によって怪我の部位や症状や程度も異なりますから、当然、治療を続けたものの症状固定となったときに被害者に改善せずのこった症状もまた人によって様々です。交通事故で加害者が自賠責を付けている場合、そのさまざまな残存症状を、基本的には損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所という機関が、提出された後遺障害の申請を基に判断して、賠償対象となる後遺障害ありと評価するかどうか、ありと評価する場面の等級を認定しています。

  損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所の後遺障害認定基準は全部で14等級に分かれております。全部で7等級しか用意されていない、交通事故以外でも例えば持病での半身まひなどにも適用される都道府県の身体障害者認定基準と比べて幅広い区分が用意されています。

  都道府県での身体障害者が認定された場面で、身体障害者認定手帳を持った人のように自賠責の後遺障害が認定されても、都道府県の各種サービスや割引が利用できるわけではありません。損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所により、後遺障害が認定されると、加害者の付保する自賠責保険会社からその認定された等級に応じた定額の後遺障害保険金が支払われる他、その定額の後遺障害保険金で不足する損害賠償金、具体的には、後遺障害慰謝料および後遺障害の残存が原因で将来の就業にあたり発生する逸失利益を、加害者の付保する損害保険会社に請求することができます。

  ただ、自賠責の後遺障害認定は年々厳しくなってきており、交通事故の被害に遭ってから計画無しにただただ治療を続けて、症状が残存してるからとりあえず所定の書式のとおりの資料だけ用意して後遺障害を申請するだけでは、非該当となる可能性も非常に高いです。

  主治医は医療のプロフェッショナルではあっても後遺障害申請の専門家ではなく、治療方針や医療記録の記載方法は病院や医師によってそれぞれ異なりますので、その主治医独自の後遺障害診断書への記載では、自賠社に後遺障害の詳細が上手く伝わらないこともあります。例えば、交通事故当初の怪我の状態を、損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所が求める形で記録していなかったり、医療記録の記載に不備があったり、患者の訴えとは違った意図に読めてしまう記載が説明不十分なまま記載されており字面だけ読むと患者の訴えるような症状はまもなく軽減してしまうかのように読めてしまったりと。

  そういう主治医の後遺障害の記載を中心に「後遺障害が残存し続けるとみるに乏しい」「画像を一見する限り、症状を裏付ける他覚所見が見受けられない」などと言及され、残存した症状に相応しくない後遺障害等級認定がなされてしまうこともあるのです。

  したがって、後遺障害の申請を行う際には、交通事故の被害に遭ってから症状固定となり自賠社に後遺症申請一式を提出するまでの間、怪我の状況や治療状況を余すところなく自賠社に提出する資料に記録していること、さらに、残存症状を他覚的に裏付ける画像所見や検査資料、そして、患者の症状の詳細や医師の見解が余すことなく記載されている医療記録を的確に提出することが重要になります。

  事故が起きて間があかない早いうちから弁護士に相談し、主治医とも連携して計画立てて治療を行い、治療開始から申請に至るまでの間、医師にしっかりと症状を伝えて過不足なく医療記録を作成してもらい、、後遺障害申請の際にはしっかりとポイントを押さえた後遺障害申請書類を作成した上で後遺障害の申請手続きを行う、こういう着実なことを履践していくことが後遺障害認定の確率を大きくあげていくのです。

  福岡の菅藤法律事務所は、20年以上、2000件以上の交通事故の損害賠償交渉を解決してきました。事故の示談についての相談も数多く承っており、ご相談希望の方はお気軽に経験豊富な弁護士へ連絡ください。

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