福岡の弁護士による交通事故のご相談は解決実績豊富な菅藤法律事務所へ【被害者側】
菅藤(かんとう)法律事務所
無料相談実施中!お気軽にご相談下さい。24時間・時間外受付可能!
Information
福岡県宮若市で修理工場を経営しています。当社の所有するユニックキャリアカーという車両を積載するクルマを従業員が運転中、信号機のない交差点で出会い頭事故に遭遇しました。事故に遭ったのは8月20日です。従業員は怪我がなかったのですが、ユニックキャリアカーはこの交通事故で大破しました。なお相手損保は双方に過失があるので代車は提供できないと強く言われました。 仕方ないので知り合いからユニックキャリアカーを有料で手配し代車として8月21日から使用し始めました。 相手損保からは、11月11日、見込修理費用が600万円に及び、被害車両の経済的時価を凌駕する経済的全損の可能性があるから、装備搭載品を含めた当時の購入金額がわかる資料を送付してほしいと言われました。 続く12月21日も、相手損保から、経済的全損の可能性が高いから、購入当時の資料を提供してくれと連絡がありましたが、代替車両を調達するにも被害車両の時価額が幾らであるかを根拠を添えて説明してもらえないと資金繰りの問題もあるし、買い替えせずに修理するかどうかも正確な修理見積額がわからないと決定できないので修理見積書を提出して下さいと伝えました。 1月6日、相手損保から被害車両の修理見積額が600万円であり、同時に、被害車両の時価は300万円と査定している、経済的全損なので代車の使用はいつまでも認められない、今月中に代車を返却して下さいと言われました。 相手損保の担当者から何度も何度も求められたので、2月18日に代車を知り合いに返却しました。なお被害車両は買い替える費用が調達できないので、運行に支障ある部分だけ修理して返却時から使い始めました。 相手損保に8月21日~2月18日までの半年間のユニックキャリアカーの代車料の支払を求めたのですが(なお100:0の事故でないので過失割合に則して減額がされることは承知しています)、相手損保は11月11日に経済的全損である可能性あることを伝えているのだから、11月11日の分までしか賠償義務はないと争ってきています。 もし11月11日とされると、11月12日~2月18日の代車料は自腹をかぶれと言われているのと同じで、全く納得できません。もしかして実際に使用してる期間から短縮されて、自腹をかぶらなければならないことがあるのでしょうか?
第1、まず車両が破損する交通事故物損では、たとえ被害者の過失がゼロであっても、車両の修理費用と、事故時点の時価額(+買替諸費用)を比較して前者が後者を上回る場合には、たとえ修理を希望していても、後者の金額しか相手損保には賠償してもらえないルールが確立しています、この状況を経済的全損と言います。
さて、車両を修理することが合理的に予測される分損の場合以外でも、経済的全損の場合にでも、被害者にとっては利用している車両が一時的にない状況になるのですから、代車を利用したくなるのは当然です。 しかし、損保会社には違法ではないのですが芳しくないある業界慣行が定着しています。それは『被害者にも過失がある場合には、代車は提供しない。被害者自身のほうで代車を手配してもらい、被害者自身にいったん代車料を支払ってもらう。その後に被害者から代車料の請求を受けてから支払に応じる』というものです。 なぜ芳しくない業界慣行というと、被害者に過失がある場合には、修理代やら経済的全損の場合には幾らか自己負担を余儀なくされることがはっきりしており、その状況で代車料をいったん自己負担で調達しろというのは泣き面に蜂だからです。 しかし、私が弁護士をやって何十年にもなりますが、損保会社はこの業界慣行を定着しているからと一切あらためる気配がありません。ですので、被害者としてはQのように自らにも過失ある事案ではいったん代車を自ら手配するしかないのが現状です。
第2、次に経済的全損の場合、交通事故の賠償実務で頻繁に参照される交通事故赤本には【経済的全損の場合、加害者が賠償すべき代車使用期間は、車両買替に要する相当な期間に限る】とされています。実際に、買替車両が納車されて物理的に代車使用を不要になった日まで賠償されるとは限らず、上記名古屋地判2019/4/17はまさしくユニックキャリアカーという特殊車両において、車両買替に要する相当な期間がいかほどかが争われた事案なのです。 普通の中古車市場で比較的に手に入りやすい自動車が経済的全損になった場合、車両買替に要する相当な期間は経済的全損と被害者が知ってから30日程度と言明している裁判例があります(大阪地判2012/11/27自保ジ1889号64頁)。相手損保によりますが、経済的全損の場合の代車料の賠償を是認する期間は2週間だったり3週間だったりしますが、経済的全損の場合は経済的全損と伝えた日からカウントして1か月を超えて是認することはかなり少ない印象です。 裏返せば、実際に代車使用期間が買替車両の調達をためらっているうちに2か月なり延びてしまうとその延びた分の代車料は被害者の自己負担となってしまうので注意がとても必要です。
第3、車両買替に要する相当な期間を決定する際の要素には、被害者が経済的全損と相手損保から知らされた日付、経済的全損であることが判明したあとに実際に買替に踏み切るか修理するかを被害者が検討する期間、実際に業者に次に載る車両を注文し納車されるまでに要する買替自体にかかる期間、それらを相手損保と交渉する際のやり取り等を斟酌して決定されています。 上記名古屋地判2019/4/17は、11月13日の時点ではまだ修理額の見込がはっきりしていずかつ被害車両の時価額もハッキリしていないので、まだ被害者にとって買替に踏み切るか修理するかを検討する材料が与えられていないことから、代車使用期間の終期はこの日ではないと相手損保の主張を排斥しました。 そして1月6日までに、相手損保が被害車両の時価が300万円であることを明言しかつ修理費用がそれを超える経済的全損であることも明言していることから、代車使用期間は1月6日までと説示し被害者の請求を一部棄却したのです。
第4、この際、『相手損保は、11月11日にも12月21日にも相手損保は経済的全損の可能性が高いことは伝えているのだから、被害者としても、たとえ経済的全損とする時価額が正確に伝えられていなくても、のちに経済的全損であると確定した場合に備え、買替か修理かの検討を行う機会は早くに提供されていたのであり、1月6日に正確に時価と修理見積額を伝えられたことで、1月6日にはもはや買替に要する期間を経過したとみるべきである』と理由付けしています。 被害者であっても損害軽減義務つまり加害者が賠償負担する損害額を軽減する条理上要求されるという裁判例が確立しており(最高判2009/1/19判時2032号45頁)、経済的全損における代車使用期間の長短を決定する際も、経済的全損と知ったら早いうちに代車使用期間をできる限り短縮するために被害者もまた急ぎ買替に着手しなければいつまでも実際にかかった代車料を支払ってもらえるものではないと損壊軽減義務を強調されることになるのです。
この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三
福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。
当サイトでは、長年の経験と実績を持つプロの弁護士だからこそ書ける、信頼性の高い一次情報などを発信しています。
弁護士歴(抜粋)
1992年
司法試験合格
1995年
福岡県弁護士会に弁護士登録
2004年
整理回収機構 九州地区顧問 就任
2006年
菅藤法律事務所を設立
公的役職歴(抜粋)
2010年~
日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長
2010年~2013年
福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長
2014年~
福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長
2015年~
福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員