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神戸地判2018/12/10自保ジ2041号142頁をモデルにしています。
結論から言うと、神戸地判2018/12/10では、乗用車の運転手に15%もの過失アリと認定しました。センターオーバーしていないにもかかわらずです。

たしかに、大型トラックの運転手には、自己の車両後部を対向車線に進入させた過失があり、その責任度合は相当に大きい。
しかし、乗用車を登って運転している者についても、対向車線が下り道であることから、カーブを走行する際に中央線をはみ出して走行してくる車両があることは十分予見でき、にもかかわらず、速度を落とさずにカーブに入っていることに照らすと、乗用車もまた前方を注視し適切にハンドルやブレーキを操作する義務を怠っていたため、衝突事故を起こした過失があると言わざるをえない。
加えて、大型トラックの長さや事故現場付近の道路幅に照らすと、もともと大型トラックがカーブを曲がる際にある程度中央線をはみ出さざるを得なかったことも考慮して、上記15%の過失を乗用車に課した、こういう内容です。

そもそもですが、センターオーバーしてきた加害車両のセンターオーバーされた被害車両との基本の過失割合は別冊判タ38号【150】でも加害車両100:被害車両0と基本割合を設定されています。
その理由は、車両は道路中央または中央線から左の部分を(道交法17条4項)、道路の左側に沿って(道交法18条1項)、通行しなければならないところ、そのルールは自動車運転手にとって信号遵守と同じくらいもっとも基本的ルールであるからというものです。
たとえば、直線道路で片側1車線を運転して走行中、加害車両が対向車線からセンターオーバーしてきたため、回避しようと右にハンドルを切った所、あいにく加害車両もまた左にハンドルを切って向かってくる格好になったため、衝突した事案で、加害者が「相手もまた、警笛を鳴らしたりブレーキを踏んだりして別の方法で衝突を回避することが容易だったのだから、過失相殺を適用すべきだ」と主張したのに対し、ドラレコの画像から被害車両の退避行動に責められるべき点はなく過失は専ら加害車両にあるとした東京地判2021/6/18自保ジ2104号119頁、カーブ付近で対向してくるバイクがセンターオーバーしてはみ出してくることを予見する義務は被害車両にはないとして被害車両の過失をゼロとした京都地判2007/12/6自保ジ1751号8頁、これらは別冊判タ38号の基本的考え方をピッタリ適用した裁判例です。

ただし、別冊判タ38号283頁には「中央線が表示されていず、車両の行き違いはできるもののあまり幅員が広くない道路では、運転者が遵守すべき規範の明白さに差異があり、左側を通行している車両と言えども、対向車両の進路動きに対する相当の注意が要求されてしかるべきであろう」と言及されています。
紹介した神戸地判2018/12/10のほかにも、片側1車線の時速30km制限の山間道路のカーブ地点で、対向してきた大型貨物自動車にセンターオーバーで衝突された乗用車運転者に対し、大型貨物自動車のセンターオーバーはわずかであること、道路があまり広くないため車幅の大きい大型貨物自動車が道路の左端に寄ってもその右前端が中央線に接近しこれを超えることがあってもやむを得ない面はあったこと、車幅の小さい乗用車が道路の左側に寄って接触を回避することは容易であったこと、乗用車は制限速度を20km以上超過していたこと、これらの理由から乗用車に20%過失ありとした大阪地判2021/10/27自保ジ2114号166頁もあります。
こちらも100対ゼロの例外に該当すると判断された事例です。