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交通事故の傷害慰謝料の基準表は、通常傷害に適用される別表Ⅰと、他覚所見のないむち打ち症に代表される傷害に適用される別表Ⅱで構成されます。
通常傷害に適用される別表Ⅰについては(旧)から(新)に変更されました(赤本下巻2016年95頁と赤本下巻2015年81頁以下の解説参照)。
(別表Ⅰの旧)通院が長期にわたり、かつ、不規則である場合は、実通院日数の3・5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることがある。
(別表Ⅰの新)通院が長期にわたる場合には(←不規則という文言を削除)、症状・治療内容・通院頻度を踏まえ(←勘案要素を明記)、実通院日数の3・5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある(←通院期間を基礎とするのが原則であり、修正はあくまで例外的扱いであることを明記)。
そして、別表Ⅱについても(旧)から(新)に変更されました。
(別表Ⅱの旧)むち打ち症で他覚症状がない場合に使用。この場合、慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安とする。
(別表Ⅱの新)むち打ち症で他覚所見がない場合やむち打ち症でなくても軽い打撲・挫創の場合に使用(←別表Ⅱの適用範囲を拡大)
通院が長期にわたる場合は(←通院期間を基礎としない例外の適用範囲を限定)、症状・治療内容・通院頻度を踏まえ(←勘案要素を明記)、実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある(←通院期間を基礎とするのが原則であり、修正はあくまで例外的扱いであることを明記)。
別表Ⅱの(旧)はそもそも通院期間ではなく実通院日数で基準金額を算定する方法が採用されていました。
例えば、通院期間3か月(=90日)で、通院実日数がそのうち34日の甲と、通院実日数がそのうち20日の乙を想定してみます。
別表Ⅱの(旧)によれば、甲には通院3か月(<34日×3倍)の傷害慰謝料が、乙には通院2か月(=20日×3倍)の傷害慰謝料ということになります。
ところが、交通事故赤本2015年83頁以下の分析結果では、実通院日数×3が通院期間よりも少ない場合で通院期間も1年未満というそれほど長期でない場合でも、別表Ⅱの(旧)よりもかなり高い金額が認定される傾向があらわれました。
結果として別表Ⅱの(旧)は裁判例の動向からかい離していることから、抜本的に改めた別表Ⅱの(新)に改訂されたのです。
具体的には、甲も乙も基本的には同じ額の慰謝料になるという帰結になります。
しかしながら、通院期間が原則にあらためられたといっても、症状・治療内容・通院頻度によっては、依然例外が適用される可能性があるので、上記帰結が絶対というわけではないことにも留意は必要でしょう。