交通事故のむちうち症がひどく自主退職、休業損害はどうなる?

交通事故のむちうち症がひどく自主退職、休業損害はどうなる?

Question

 福岡県小郡市で赤信号停止中、よそ見した後続車両にノーブレーキで追突される交通事故に遭いました。幸い、骨折など画像所見のある怪我はしなかったのですが、頸部捻挫及び腰部捻挫と診断され、1年間こまめに通院し症状固定となりました。めまいに全身の倦怠感、首や腰の痛みや肩こりが一向に消えず、後遺障害併合14級の認定を受けました。

ところで、私は大学を卒業してから15年間、受験予備校で雇われ講師をしていたのですが、こんな体調ではとても授業の準備も生徒の採点も満足にできず、期末の追い込みにも対応できないので、当初は無理無理休まずに仕事を続けていたものの、職場と話し合って交通事故にあってから3か月めに自主退職しました。 退職時の月収は30万円です。

大学を卒業してから講師しかしていなかったので、納得できる再就職も見つからず今は無職です。事故にさえ遭っていなければ、、、とお先真っ暗で悔しさしきりです。

相手損保から、退職して無収入になった事故にあってから4か月めから症状固定に至るまでの9か月間と、そして、症状固定後も再就職できるまでの間、毎月30万円ずつの休業に対応する補償をしてもらえるのでは?

Answer

  まず、症状固定後の収入損失に対する補償の考え方を簡単に説明します。 症状固定になると休業損害という形での換算は打ち切られて、逸失利益という形に変容して補償されます。
この逸失利益を算定する際は、認定された後遺障害の度合(14級とか等級の数値のことを指します)が非常に重視されています。例えば、後遺障害の等級が14級で認定されている場合の労働能力喪失率は5%です。

 つまり、逸失利益を算定する際は、症状固定後の被害者の収入が現実に幾らになっているかは、せいぜい補助事情として考慮されるにとどまるので、例えば再就職までに無職が1年続く現実があっても1年分の給与相当額を逸失利益で補償するという計算方法は採用されていません。
 逸失利益の算定式は、別のQ&A「交通事故で後遺症が残った場合の逸失利益の計算方法は?」で紹介しておりますのでそちらをご参照ください。

 次に、症状固定前の収入損失は休業損害という形で換算されます。
 ただし、むちうち症の場合、そもそも治療過程で仕事を休業することが必要なのか、影響が強く職務を継続することが困難な症状と言えるのか、かつ、勤務先や職種の状況から配置転換によって退職を回避することが困難な状況と評価できるのか、休業が必要だとしてそれはどのくらいの期間なのこのような点が休業損害をめぐってよく争われています。

 Qのケースでいうと、仕事を従来通り続けることが困難という主治医からの医証発行の有無や、退職することをやむを得ないとする勤務先からの退職理由に関する証明書発行の有無などを総合して、休業や退職の必要性の存否を検討することになるでしょうし、また、症状固定までの全期間をまるまる休業補償対象期間と評価できるかは、症状の経過や求職活動の有無を踏まえた予備校の講師以外の他職での就労可能性などを踏まえて検討し、実際の期間よりも限定することもありえます。

 東京地裁2014/10/17自保ジ1936号21頁では、交通事故に遭って8か月後に会社から解雇された案件で、解雇される前に被害者が交通事故で会社を休業した事実もないことから、解雇の原因は交通事故と別原因と推認されるとして、解雇以降の休業損害の請求を斥けました。

 このように、むち打ち症の場合、休業の事実があっても、さらには、退職していても、即発生した全部の休業損害を補償してもらえるとは限らず、個別具体的な事情に応じた判断がなされています。
 ちなみに、交通事故赤本2012年下巻川﨑直也裁判官の講演21頁では、後遺障害と退職に関してながら、「労働能力喪失率20%以下の軽度の後遺障害を残した事案では、多くの場合は交通事故による受傷と退職との間の因果関係を肯定するのは難しいのではないでしょうか」と言及されています。

交通事故(人身被害)に遭われてむち打ち症になりお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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