胸郭出口症候群での後遺障害認定率は高いの低いの?

胸郭出口症候群での後遺障害認定率は高いの低いの?

Question

交通事故で追突されました。骨折などはなかったですが、半年以上の治療を受けたにもかかわらず、一向にむち打ち症状が止みません。
血行がめっきり悪くなって腕が白っぽい感じになり、また、つり革につかまるときなど腕を上げる際に上半身がしびれたり、肩や腕や肩甲骨周辺に痛みが走ります。指先が冷たく、掌の握力も低下し細かい動作ができなくなりました。
主治医から胸郭出口症候群という診断を下されています。胸郭出口症候群という症状の場合、後遺障害認定率は高いのでしょうか低いのでしょうか?

Answer

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん、TOS)とは、頸椎から腕に行く腕神経叢(そう)と鎖骨下動脈が、頸の下から鎖骨付近で圧迫されたり牽引されたりして、上半身のシビレや痛みを引き起こす傷病名です。

 

  この腕神経叢と鎖骨下静脈は、神経血管束と呼ばれる束となって、前斜角筋と中斜角筋の間、鎖骨と肋骨の間という狭い所を通っています、その場所を胸郭出口と呼んでいます。

この胸郭出口の場所で、余分な骨や強張った筋肉に神経血管束が圧迫されたり(圧迫型:筋肉質の男性に多い)また、猫背などの姿勢不良や撫で肩のため神経血管束が牽引されることにより(牽引型:撫で肩の女性に多い)、上半身のシビレや痛みが出現するという内容なのです。

胸郭出口症候群の有無を臨床現場で診断する際に、よく利用されている5つの誘発テストを紹介します。
*ただし、今の医学界の中では、これら誘発テストの結果に疑義的な意見も少なからず医師側から提起されているようです。

①モーレイテスト…鎖骨の上にあるくぼみ部分にある腕神経叢を指で圧迫する。圧痛や前胸部への放散痛が生じるとテスト陽性
②アドソンテスト…症状のある腕側に首を回旋してあごをあげた状態で、深呼吸してもらう。その際、橈骨動脈の脈拍が弱まればテスト陽性
③ライトテスト…腕をつかんで脈を取りながら、肘を90度曲げて肩の上あたりまで腕をあげてもらう。その際、橈骨動脈の脈拍が弱まればテスト陽性
④エデンテスト…胸を張ってもらい、症状が出る方の腕を後ろ下の方向に引っ張る。その際、橈骨動脈の脈拍が弱まればテスト陽性
⑤ルーステスト…両腕を上方向に90度まげて3分間グーパーを繰り返す。手指のシビレや前腕のだるさのため途中で腕が挙げられなくなったり、上半身が蒼白になるなど異常が出たらテスト陽性。

次に、胸郭出口症候群の有無を確認するための画像検査を紹介します。
Ⅰ、レントゲン画像
正面像では、頚肋(けいろく、第7頸椎横突起の過形成)の存在や、第1肋骨や鎖骨の奇形変形の有無を確認する。また、側面像では撫で肩の程度が判断できます。
ただし、レントゲンでは軟部組織は抽出されないため、レントゲン画像で圧迫の原因や部位を診断することは無理です

Ⅱ、血管造影検査
胸郭出口部での血管の圧迫の有無、その原因や部位の状況を画像で裏づける検査方法です。
足の付け根のところで大腿動脈からカテーテルを入れ、これを鎖骨下動脈まで挿入して造影剤を注入する方法と、上腕動脈からカテーテルを逆行性に挿入して造影剤を注入する方法があります。
  ただし、この検査を実施してくれている病院はそう多くないみたいです。また、自賠責の事前認定では血管造影検査の画像をもって必ずしも他覚的に証明されたものとは扱わない運用をしているようです。

上記のとおり、誘発テストや画像所見があってもそれ単独で《これ有れば胸郭出口症候群が他覚的に証明できている》と簡単に評価してもらえない状況にあります。
また、そもそもむち打ち症程度の物理的衝撃にすぎない場合、体内に胸郭出口症候群は発症しないのでは、という医師見解も根強く主張されているようです。

その結果、胸郭出口症候群と診断されても、前記のとおり他覚的所見を伴うものとして証明することがかなり困難とされるためか、自賠責の事前認定で12級を獲得するのは今は非常にハードルが高く、14級もしくは非該当というケースがほとんどのようです。

しかし、裁判手続まで利用した場合、自賠責の認定に関わらず、個別事案に対する裁判官の認定という形で、12級12号を認定してもらえるケースも幾つも見受けられます(東京地裁平成19年12月18日自保ジ1743号、大阪地裁平成4年6月18日交民集25巻3号693頁、東京地裁平成16年12月21日交民集37巻6号1695頁、さいたま地裁平成20年3月28日交民集41巻2号476頁、名古屋地裁平成22年10月22日自保ジ1838号92頁、名古屋地裁平成17年8月30日自保ジ1623号9頁) 。

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