むち打ちなど画像所見のない後遺障害

電気生理学的検査(神経伝達速度・針筋電図)とは?

  • 更新日:2016.6.1
  • 投稿日:2016.4.25

電気生理学的検査(神経伝達速度・針筋電図)とは?

Question

交通事故でむち打ちの後遺障害の他覚的所見を裏づける証拠として、神経伝達速度検査や針筋電図検査が有用だという情報を得ました。
その検査をすれば自賠責で後遺障害を認定してもらえるものなのでしょうか?

Answer

まず伝えておかなければならないのは、自賠責の後遺障害の審査において、これら電気生理学的検査は、あくまで後遺障害の残存を補強する証拠として位置付けられてはいますけれども画像所見を欠いていてもこの検査結果で画像所見に替えることができるというほどの強い意味づけまではされていないことです。
また、電気生理学的検査の数値が、画像所見や被害者の訴える症状と整合性のある異常数値であるときは被害者の後遺障害の残存を補強する有力な証拠になるのですが、反面、気生理学的検査の数値上は異常を示さず被害者の訴える症状と整合性がとれない場合には、かえって被害者に後遺障害が無いという判断を導くことにもなりかねないのです。

    さて、電気生理学的検査には、神経伝導速度検査針筋電図検査がありますが、いずれも整形外科の領域にはなく、神経内科の領域の検査であり、また、かなり手間がかかる検査ですので、この検査を神経内科で実施するときは、整形外科医に紹介状を作成してもらう必要があるでしょう

1、神経伝導速度検査はNCSといい、同一神経の2点に電気刺激を与え、その反応電位の波形の時間差を測定する検査です。
末梢神経にダメージがあれば、電気刺激の伝わる速度が遅くなったり、画面上での波形が通常よりも低くなったりします。
正常値として紹介されている数値は次のとおりです(「神経伝導検査と筋電図を学ぶ人のために」医学書院より)。
むろんこの数値ですら、さらなる個人差まで織り込んだものではありませんので1m/sでも外れたら異常値ということにはなりません。
尺骨神経・・・運動繊維 49~54m/s、感覚繊維 44~54m/s
正中神経・・・運動繊維 38~51m/s、感覚繊維 47~53m/s
腓骨神経・・・運動繊維 40m/s

2、針筋電図検査はEMGといい、神経に沿って針を刺し、筋肉に力を入れたときに筋肉が発する電位の波形を測定する検査です。
その波形を読むことにより、筋力の低下という症状の原因が、筋ジストロフィーなど筋肉自体の障害によるものなのか、筋委縮性側索硬化症など末梢神経の障害によるものなのかなどを区分し判定します。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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