むち打ちなど画像所見のない後遺障害
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むち打ちなど画像所見のない後遺障害
福岡市八女郡広川町の仕事先にクルマで向かう途中に追突されました。1年ほど治療を続けましたが、首と腰の痛みがとれずそれぞれ後遺障害14級を認定されました。私は33歳の男性で、骨折などの画像所見はありません。いま交通事故に遭ってから1年半ほど経ちますけれども、案の定、首も腰も痛みが持続しており消失する様子は全くありません。
後遺障害が認定された場合、普通は満67歳を労働能力喪失期間の終期に設定しています。ただし、むち打ち症の場合、後遺障害の認定等級が14級だと5年程度、12級でも10年程度に労働能力喪失期間を制限する裁判例が非常に多いです。
そもそも後遺障害とは。その定義の中に《永久に治ることのない障害が残存している》という意味を含んでいますから、稼働期間全体をその算定対象に含めるべきという有り様が、定義から帰納されるはずです。
しかし、むち打ち症については、医学者の中からも《たとえ画像上の損傷を伴っていても、もたらされた障害が永久に治らないとみるのは大袈裟である。端的に症状が長引いた慢性症例というのが相応しい》という意見もでています。
例えば、疼痛やシビレという神経障害については期間の経過による改善や馴れによる影響の緩和が一般に期待される、まして被害者が若い場合には可塑性に富むことから日常生活における訓練によって回復する可能性がより高いという指摘が医者側からされています。多くの裁判例はその指摘を踏まえ、むち打ち症の労働能力喪失期間を他の後遺障害の場合に比べ制限しているようです。
ただ翻って考えれば、期間の経過によって改善どころかハンディキャップによる不利益が増加することも普通にあり得る事象ですし、まして何年で改善するはずとか、かっちりした数値の統計があるわけではありません。
また、馴れや被害者の努力による回復があるとしたら、そのような被害者の負担や努力の成果を補償額の縮減という形で加害者に利するいわれはないはずです。そもそも改善の余地があるのなら、本来的には永久に症状が治らない後遺障害に含める扱い自体が誤っているというジレンマに陥ります。
つまり、むち打ち症による後遺障害を自賠責が認容しているとはいえ、他の機能障害や欠損障害などとは質的に異なる後遺障害であり、むち打ち症を後遺障害に含めるのは便宜上の扱いによるという評価が実務における発想の根底に存在するため、むち打ち症の場合の労働能力喪失期間が他の後遺障害に比べて短期間に制限される運用になっており、これを打破するのは現在の実務の傾向からは容易ではない印象です。
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