治療費など費用

交通事故で通院で利用したタクシー代は全額賠償対象になる?

  • 更新日:2016.6.1
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故で通院で利用したタクシー代は全額賠償対象になる?

Question福岡県朝倉郡東峰村で交通事故の被害にあいましたが、私はクルマを持っていません。また、病院行きのバスの便もとても少ないし電車はとっくに廃線になりました。 

    病院に通院で利用したタクシー代は全額賠償の対象となるのでしょうか?

Answer

交通事故被害者が病院へ通院する際、タクシー利用が必要かつ相当とされる場合は例外的にタクシー代が賠償対象となるのですけれども、その例外的な場合を除けば、実際にタクシーを利用していても電車やバスなど公共料金が賠償限度となると考えられています。

 

    これは被害者であっても、社会通念に照らして損害(経費)発生を抑制・軽減する義務が課せられているという発想に由来すると言われています。

 

    例えば、自宅から病院まで徒歩圏内なのに暑い中を歩くのが苦痛だから(もともと事故にさえ遭わなければ病院に通う必要もなかったのだから)と、タクシーで移動して通院したとしても、経費発生を抑制する義務を果たしていないとして、そのタクシー代は賠償対象から外されることになります。

 

    他方、代替交通機関(自家用車・バス・電車)が存在せずまたは使用できないというときには、例外的な場面に該当するので、タクシー代全額が賠償対象とされるでしょう。
このように具体的な案件に即して検討していくことになります。

 

    実際にも、病院へ自宅から通院する際に、公共交通機関を利用するならば自宅から1時間かけて徒歩で駅まで出なければならず、また、自家用車での通院も期待できる状況ではなかったということで、2年間の通院に要したタクシー代235万円全額を通院交通費の賠償対象として認定した裁判例もあります(大阪地裁平成7年3月22日交民集28巻2号458頁)。

    交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

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弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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