交通事故治療の一環として温泉療養費を請求できる?│福岡 弁護士

交通事故治療の一環として温泉療養費を請求できる?

Question

湿布とか電気治療もいいんじゃが、わしゃ昔っから温泉街のそばに住んでおってのお。
交通事故でつづく首とか腰の鈍い痛みも、温泉に浸かって治すのが一番よいとおもっとる。温泉療養費は加害者に請求できるんじゃろうか?

Answer

温泉療法は古来から湯治と呼ばれ、 一定期間温泉地に滞留して、温泉に入浴したり飲泉したり湯けむりを吸入することで、病気の回復を試みる取り組みがたくさんなされていました。
九州ですと、大分の鉄輪(かんなわ)温泉が有名な湯治場ですね。
また、日本文学であげれば、道後温泉と坊ちゃん(夏目漱石)、湯ケ野温泉と伊豆の踊り子(川端康成)、有名な文学者も湯治は大好きだったようです。

 

    脱線した話を戻しますと、温泉療養費の賠償を加害者に命じた判決が2つ、逆に、賠償義務なしとした判決が1つあります。
・主治医が明確に指示したわけではないが、仕事を再開する前に温泉にでも行って休養するよう勧められたケースで、温泉療養に要した旅費や宿泊費のうち60%の賠償を命じた(東京地裁昭和53年3月16日判時900号79頁)。
・主治医が積極的に支持したわけではないが、被害者の申し出を受け、ある程度の治療効果を期待して温泉へ通うことを主治医が承認したケースで、温泉療養に要した交通費全額の支払を命じた(福井地裁敦賀支部昭和46年9月13日交民集4巻5号1396頁)。
・主治医が治療の必要を認めて特に指示したものではなく、被害者の希望で転地療養に出かけたにすぎず、治療の上で有益であったことは認めがたいとして、温泉療養費の賠償義務は無しとした(東京地裁昭和52年11月29日交民集10巻6号1669頁)。

 

    とりまとめると、主治医が治療の必要性を認めて明確に指示するか、もしくは、明確な指示がないにせよ治療の有効性を医師自らが認めて指示した場合に、例外的に、加害者に対する請求が可能と理解してよいでしょう。
判決が出たのがいずれも今から30年以上前というのが時代を感じさせますが、温泉療養の経費は常に被害者の自己負担になるというわけでもなさそうです。

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