死亡事故

交通事故で生命保険金を受け取ったら賠償額は減るの?

  • 更新日:2024.11.19
  • 投稿日:2016.4.25

交通事故で生命保険金を受け取ったら賠償額は減るの?

Question

交通事故で夫が亡くなりました。夫は基本保険金3000万円+災害死亡加算2000万円の生命保険に加入していました。これを受け取ると、加害者から支払ってもらえる賠償額は減るのでしょうか?

Answer

交通事故で被害を受けたときは、損害ばかりでなく何らかの利益を受けることがあります。
その交通事故に起因して、何らかの利益を被害者側が受けたとき、その受けた利益が損害の填補であることが明らかであるときに限り、その受け取った利益の分を加害者に請求できる賠償額からこの受けた利益を差し引くこと、この扱いを損益相殺(そんえきそうさい)といいます。

損益相殺は、民法に特に条文はありませんが、損害の公平な分担という不法行為の原理から導かれて、実務に定着しています。

    生命保険金は損益相殺の対象にならず、被害者の遺族がこれを受け取っても加害者から支払ってもらえる賠償額は減りません。
なぜなら、生命保険金は生命保険会社との保険契約により給付されるもので、いわば既に払い込んだ保険料の対価という性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払われるものだからです(最高裁1964/9/25判時385号51頁)。

    交通事故被害にあったとき、常に加害者側から必要な賠償額が迅速に支払われるとは限りません。万が一に備えて、日常生活の中で生命保険に加入しておくのが、交通事故被害対策という観点からも有効といえるでしょう。

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菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

当サイトでは、長年の経験と実績を持つプロの弁護士だからこそ書ける、信頼性の高い一次情報などを発信しています。

弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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