お得な交通事故マメ知識

交通事故で自由診療でなく労災保険や健康保険を使うべき場面は?

  • 更新日:2016.6.1
  • 投稿日:2016.4.24

交通事故で自由診療でなく労災保険や健康保険を使うべき場面は?

Question

交通事故で被害を受けたのですが、自由診療でも保険診療でもどちらでも使えるにせよ、労災保険や健康保険は自分が保険料を支払っているから使えるモノだから、全部加害者に負担させるのが筋だと思います。
保険診療を使うと加害者が得するみたいでイヤです。自由診療を貫きたいのですが?

Answer

自由診療であれば、料金の決定・怪我に対する治療内容の決定、いずれにおいても医療機関の自由が認められていますので、医療機関は交通事故の場合にはなるべく自由診療で治療費を支払う対応が適切であると考えているようです。
また、被害者も普通は「交通事故では保険は使えない」と信じており、自由診療で進めていくのはごく普通の対応といえるでしょう。

 

    ただし、被害者にとって自由診療でなく保険診療を使ったほうが、明らかにメリットがある場面が2つあります。

 

1、加害者が任意保険に加入していない場合です。
任意保険料を惜しんでいるくらいですから、残念ながら、加害者の懐に治療費を自己負担できるだけの蓄えが無い場合が非常に多いです。仮に加害者が自賠責保険にだけ加入していたとしても自賠責保険で支払える上限は120万円です。
自由診療だと自賠責保険の上限120万円を越えた治療費はいったん被害者自らが全額立て替えなければならなくなります。長期入院などではあっという間に上限に達する危険があります
他方、労災保険が使えるならば、療養保険給付として治療費が国から支払われますけれどもその上限額は設けられていず、治療費の自己負担もありません。
また、健康保険が使えるときは、治療費の3
割は自己負担になりますけれども高額医療費還付制度でその負担額を減らすこともできますし、また、結局負担することになった金額も120万円の枠内で後で自賠責保険から回収することができます。それに一般に健康保険の場合には自由診療よりも単価は低めです。

2、被害者側にも大きな過失がある場合です。
数字を使った具体例で説明します。被害者の過失が40%、病院で5万点分の治療を受けて、治療費を除いた休業損害や慰謝料などの金額合算は100万円と考えられる案件があったとします。

 

1)自由診療で治療費を1点20円と設定した場合
病院の治療費1点20円☓5万点=100万円
休業損害や慰謝料など100万円に治療費を加えると…損害総額200万円
被害者が加害者側に請求できる金額は200万円×60%=120万円
∴この120万円のうち100万円は損保会社が治療費で病院に支払ったので
⇒被害者の懐に直接損保会社から支払われるのは残り20万円
2)労災保険診療で治療費を1点12円と設定した場合
病院の治療費1点12円×5万点=60万円
休業損害や慰謝料など100万円に治療費を加えると…損害総額160万円
被害者が加害者側に請求できる金額は160万円×60%=96万円
∴この96万円のうち60万円は損保会社が労災保険を使ったことによる国からの求償で支払ったので
⇒被害者の懐に直接損保会社から支払われるのは残り36万円

 

   全く同じ怪我で全く同じ病院で同じ5万点分相当の治療を受けていながら、自由診療だったか保険診療だったかで、被害者に直接損保会社から支払われる金額にずいぶんな差がでてしまうのです

 


自由診療でなく保険診療を使う方が被害者にとって明らかにメリットがある場面が2つあることはぜひ知っておくべきですし、また、実際に病院で治療を受けるにあたっても特にそういう場面ではハッキリ保険診療を使いたいことを伝える必要があります。

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