交通事故のとき、膝靭帯損傷で予測される後遺障害は?(動揺関節)

Question

バイクに乗っているとき、路外の駐車場から飛び出てきたクルマにぶつかられる交通事故被害に遭いました。
左膝の前十字靭帯と内側側副靭帯を損傷したので、入院して手術を受けましたけれども、手術後も横にグラグラしたり、踏み込んだ時にガクッとして力が入りません。
左膝の後遺障害をキチンと認定してもらうには、どういう点を押さえておかないといけませんか?

Answer

靭帯は骨と骨をつなぐゴムバンドみたいなものですから、靭帯損傷が治りきらないと、そのゴムバンドが弾力を失ってゆるゆるになってしまいます。
そうなると、膝が前後左右にグラグラするなど、膝関節の正常可動域よりも可動域が大きくなったり異常な方向に動くという、動揺関節に至ることがあります。

代表的な靭帯には、前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靭帯・外側側副靭帯がありますけれども、そのいずれを損傷した場合にも動揺関節を後遺症として残す可能性があります。
膝の動揺関節については、後遺障害等級表にピッタリ該当する箇所はありませんけれども、3つの等級が想定されています。

・労働に甚だしい支障があり常に硬性補装具の装着を必要とする…8級7号を準用

・労働に多少の支障がありときどき硬性補装具の装着を必要とする…10級11号を準用

・重激な労働の際には硬性補装具の装着を必要とするものの、それ以外の通常の労働のときは硬性補装具の装着は必要でない(≒動揺関節を支持する為に、普段は軟性補装具で足りる)…12級7号を準用

・膝関節の屈伸の際に、常に膝蓋骨が脱臼する習慣性脱臼、もしくは、一定の角度までは抵抗があるがその角度を通過すると急に何かが弾けるような痛みを伴うばね膝(半月板損傷の場合によく発生します)…12級7号を準用

膝の動揺関節を自賠責で後遺障害として認定してもらうためのポイントは、
靭帯損傷や靱帯断裂を画像で裏づけること
動揺の程度を装具への言及に加え各種検査で裏づけること、この2つです。

前者①は膝のMRI画像や関節鏡検査で裏づけることができます。大事なことは、これらの画像所見では後者②を証明することはできないことです

後者②は、徒手による、膝の痛みに有用な神経学的検査(引き出しテスト・アプレー圧迫テスト・内転ストレステスト・外転ストレステスト)を実施するほか、ストレスX線撮影で裏づけることができます。

また、硬性膝装具の装着について、常時なのか、ときどきなのか、重激な労働ならば必要なのか、主治医のコメントをきちんと記録化しておくことも大事です。装具を装着した膝を撮影した写真を添付する方法もあります。

以下では、ストレスX線撮影を詳しく説明していきます。
ストレスX線撮影は、器具や徒手で圧力をかけて、ふくらはぎ部分を押すことで、靭帯損傷に起因する骨のズレをあえて生じさせた状態でレントゲンを撮影し、膝関節がどの程度開いているかを計測する検査です。

健側と患側の両方を、それぞれストレスをかけた状態とかけてない状態の2通りで撮影します。これによって明確な左右差が見られれば、膝関節の動揺性が一目瞭然になると評価されています(↓左足後十字靭損傷のX線写真)

faq-001

 

   ストレスX線撮影を実施してもらうときは、実際に生じている骨のズレがハッキリわかるような正しい撮影方向で撮影してもらうことが大事です
撮影後、主治医に、徒手による神経学的検査と合致するほどの骨のズレがレントゲンにきちんと映っているかをぜひ確認してもらって下さい。

残念ながら、 このストレスX線撮影自体が、自賠責の認定でも重視されていながら、臨床現場では余り行われていない検査です。
理由は、比較的手間がかかるのと、臨床医にとって治療行為ではなく残存する膝関節の同様の程度を知るための検査なので、積極的にやってくれる医師が多くないことが残念な点です。

そのため、膝関節に動揺が残存する場合には、このストレスX線撮影があって初めて適正な後遺障害の認定が得られることを、臨床医に説得して実施してもらう、もしくは、やってくれる医師を探すことが大事なのです。

交通事故で、膝に靭帯損傷が発生し、関節動揺が発生してお困りのときは、お気軽に、豊富な知識と実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

お問い合わせリンク