交通事故コラム

横断歩道に接近するクルマが守らなければならない道交法のルールとは?

  • 更新日:2025.4.20
  • 投稿日:2025.4.20

横断歩道での自動車の停止義務|歩行者を守るためのルールとは?

近年、交通事故のニュースでたびたび問題視されているのが「横断歩道の近くで自動車が停止しない」ことです。横断歩道は本来、歩行者が安全に道路を横断するための場所であり、自動車は必ずその前で停止義務を果たさなければなりません。

しかし、現実には横断歩道の手前で止まらない自動車が多数存在し、それが交通事故を引き起こす大きな要因となっています。このコラムでは、横断歩道に接近した際に自動車が守るべきルール、特に停止義務について詳しく解説します。

道路交通法第38条に基づく自動車の停止義務

法律ではっきりと定められている通り、横断歩道の前では、自動車には明確な停止義務が課されています。道路交通法第38条第1項では次のように定められています。

「車両等は、横断歩道に接近する際、歩行者が明らかにいない場合を除いて、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行しなければならず、歩行者が横断しようとしているときは、進行を妨げてはならない。」

つまり、横断歩道を渡ろうとする歩行者が1人でもいれば、自動車は確実に停止義務を果たさなければならないのです。「まだ渡っていないから」「目を合わせなかったから」などの言い訳は通用しません。横断歩道に立つ歩行者の意思を尊重し、自動車はしっかりと停止する必要があります。

横断歩道で止まらない自動車が7割以上

警察庁の統計によれば、信号のない横断歩道で歩行者がいるにもかかわらず自動車停止した割合は、全国平均でわずか30%台です。つまり、7割以上の自動車が停止義務を無視しているという実態があります。

このような状況では、歩行者は安心して横断歩道を渡ることができません。そもそも横断歩道は歩行者のために設置されている場所であり、その近辺では自動車は脇役であるべきです。ところが多くの運転者が、自分本位の運転を続けており、その結果、命に関わる重大事故が発生しています。

横断歩道前で停止しないとどうなる?違反の代償

横断歩道の前での停止義務違反は、道路交通法違反として次のような処分が科されます(2025年4月時点)。

  • 反則金(普通車):9,000円
  • 違反点数:2点
  • 歩行者と接触した場合は、刑事・民事責任も発生

わずか数秒の停止を怠っただけで、高額な賠償責任や刑事処分を負う可能性があるのです。特に、子どもや高齢者が被害者となった場合には、運転者側の過失が厳しく追及されます。

横断歩道の手前30メートルは追い越し禁止区域

横断歩道に関するもう一つの重要なルールとして、自動車横断歩道の手前30メートル以内では追い越し・追い抜きをしてはならないと定められています(道路交通法第30条)。このルールを知らない、あるいは軽視している運転者も多く、実際に歩行者を巻き込む事故の多くがこの違反に起因しています。

例えば、前の車が横断歩道で停止して歩行者を通そうとしているときに、後続車がそれを追い越して歩行者をはねてしまう――このような事故は非常に多く、重大な過失とみなされます。横断歩道の手前では「追い越しはしない」「前の車が止まっていたら必ず自分も止まる」という意識が必要です。

横断歩道の前で車がルールを守らなかったために交通事故被害にあったときは?

 損保会社は交通事故の交渉のプロですから、横断歩道の前で車がルールをまもらなかったために発生した交通事故であっても、損害賠償の金額や事故の過失割合などで強引な主張を繰り出すことがあり、その際に上手く反論ができず保険会社の主張通りに話を進められてしまい後悔するケースも多いです。

 損保会社との交渉に不安がある方は早いうちから交通事故の案件に強い弁護士に相談・依頼することをお勧めします。弁護士費用特約が付いた保険に加入していれば、弁護士費用を手出しすることなく弁護士に相談することができます。

 早い段階から弁護士を入れることで、横断歩道を歩行していて発生した自動車との交通事故についての交渉を弁護士に任せ、被害者は安心して治療に専念することができます。横断歩道で発生した車と歩行者との交通事故についての交渉は、交通事故の案件の経験豊富な弁護士にお任せください。

 福岡の菅藤法律事務所は、30年以上、2000件以上の案件を解決してきました。
 横断歩道にて交通事故に遭われた方の賠償請求についての相談も数多く承っておりますので、お気軽に経験豊富な弁護士へご相談ください。菅藤法律事務所は福岡市の中心部の大濠公園そばにあり、地下鉄空港線の大濠公園駅(福岡市美術館口)からも近く、公共交通機関のアクセスも充実しています。法律事務所1階には無料で停めていただけるお客様用駐車場を完備しておりますので、自動車で来られる方も安心してご連絡下さい。

菅藤法律事務所 菅藤 浩三

この記事の著者・運営者:菅藤法律事務所 菅藤 浩三

福岡を拠点に、交通事故被害者の問題解決をサポートする現役の弁護士。弁護士歴約25年、2000件以上の交通事故案件を解決してきた豊富な実績を持つ。東京大学卒業後、合格率2.69%の司法試験に合格。整理回収機構の顧問弁護士や、日本弁護士連合会・福岡県弁護士会の委員を歴任するなど、交通事故分野における高い専門性と信頼性が評価されている。

当サイトでは、長年の経験と実績を持つプロの弁護士だからこそ書ける、信頼性の高い一次情報などを発信しています。

弁護士歴(抜粋)

  • 1992年

    司法試験合格

  • 1995年

    福岡県弁護士会に弁護士登録

  • 2004年

    整理回収機構 九州地区顧問 就任

  • 2006年

    菅藤法律事務所を設立

公的役職歴(抜粋)

  • 2010年~

    日本弁護士連合会「市民のための法教育委員会」副委員長

  • 2010年~2013年

    福岡県弁護士会「法教育委員会」委員長

  • 2014年~

    福岡県弁護士会「ホームページ運営委員会」委員長

  • 2015年~

    福岡県弁護士会「交通事故委員会」委員

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