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私が福岡で獲得した交通事故裁判例が弁護士向け専門雑誌に掲載されました

  • 更新日:2021.9.20
  • 投稿日:2016.4.25

私が福岡で獲得した交通事故裁判例が弁護士向け専門雑誌に掲載されました

福岡高裁2015年8月27日自保ジ1957号56頁です。

インターネットで交通事故に強い弁護士を探して、熊本県玉名市にお住まいのご遺族からご依頼いただきました。
夫婦2人で退職後年金で暮らしている68歳男性が、横断歩道を自転車で横断中に、相手方の前方不注視のためにクルマにひかれて亡くなる死亡事故が発生しました。
ところが、相手方が「自分は青信号で横断していた。赤信号で渡っていたのは被害者である」と虚偽の供述を繰り返したため刑事処分では被害者の落ち度が大きいと死亡事故にも関わらずいったん不起訴処分とされてしまったのです

しかし、亡くなられた被害者のご遺族は、「あの真面目な被害者が赤信号横断をするはずがない。捜査が不十分のまま不起訴としたのはおかしい」と納得がいくはずがありません。
不起訴処分後も捜査機関に捜査再開を働きかけたものの捜査機関から全く再開の様子を示されることはありませんでした。そこでやむなく被害者のご遺族自ら目撃者を探す積極的な探索行動を長い間にわたり続けらたのです。
  探索活動の甲斐あって奇跡的に被害者は青信号で横断歩道をわたっており、逆に相手方が赤信号を無視して交差点に進入したという、死亡事故の目撃者2人を見つけることに成功しました。目撃者2人の情報をすぐに捜査機関に提供しました。
 その後、不起訴処分が撤回され、相手方が逆転起訴されて刑事事件は有罪判決となりました。
 次は、相手方に対する損害賠償の請求ということで、インターネットで交通事故に強い弁護士を探して、私菅藤の所にご依頼いただいたのです。

 言うまでもなく、相手方が虚偽の供述をしたことにより捜査を誤った方向に誘導されたというのがこの死亡事故の見逃せない本質です。
その誤導を真実の方向に戻すため、被害者のご遺族が長い時間さらされてきた労苦は、それは並大抵のものではありません。
そこで、被害者のご遺族が費やされてきた労苦を死亡慰謝料の算定に適正に反映させなければ、虚偽の供述で真実発見を妨げた相手方に対する制裁としても真実発見のために多大な労苦を払わされたご遺族や濡れ衣を着せられた被害者自身の名誉回復としても不十分であることを弁護士菅藤は強調しました。
そして、通常の高齢者の死亡事故の場合に比べて5割増しの3000万円の死亡慰謝料を獲得することに成功しました
 

 また、年金受給者の逸失利益算定における生活費控除率は、通常の男子高齢者の死亡事故ですと60%を超えることが珍しくないのですが、ご遺族の献身的な証拠収集活動により具体的な生活状況を丁寧に炙り出し、これまた年金生活者の通常の生活費控除率を大幅に下回る40%に抑えることに成功しました

 さらに、被害者が任意に加入していた養老保険金を請求するために取り寄せを要した死亡証明書の文書料も、相手方は賠償義務がないと争ったのに対し、支払義務ありとすることに成功しました。

 被害者のご遺族がいらっしゃいますので、最終的な獲得金額に関してはここでは非公開とさせていただきますが、愛する家族の命を奪われたのみならず相手方によって濡れ衣まで着せられるという、筆舌に尽くし難い思いをさせられ、それを克服するために多大な労苦にさいなまれた被害者のご遺族のために、これまで培った知識経験を惜しみなく注ぎ込み、亡くなった被害者とそしてそのご遺族の慰みに少しでも寄与する結果になってよかったと思っています。


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