後見人の選任が必要な場面とは?

後見人の選任が必要な場面とは?

Question

交通事故で妻がいわゆる寝たきり(遷延性意識障害)で完全介護になってもう2年経ちます。先日、主治医から症状固定だと診断され、同時期に加害者側の損保会社から「後見人を選任する手続に入って下さい。」と言われました。
なんで被害者の方で手間ひまかけて後見人を選任しないといけないんですか?夫の自分が妻の代わりに話を進めることはできないんですか?加害者にやってもらうわけにはいかないんですか?

Answer

交通事故において、被害者がご存命の場合、損害賠償を加害者に請求できるのは被害者本人となっています。
しかし、被害者本人に意識が無かったり、また、重度の高次脳機能障害などで意識はあっても判断能力が不十分な場合には、被害者は意思表示ができず、示談や訴訟、そして弁護士への依頼自体を法律上有効な形で進めることができません。
法律は原則として交渉や賠償請求は個人個人が意識して行わなければならないと取り決めているので(これを私的自治の原理といいます)、夫であっても、意識が無かったり判断能力の不十分な妻に代わって、即請求手続を進めることはできないのです。

 

   このようなとき、被害者が法律上有効に、請求手続や示談交渉などを進められるよう、民法は成年後見という制度を用意しています。 選任された後見人は、被害者本人の法定代理人として、被害者本人に代わって被害者本人の利益になるように、示談交渉や弁護士への依頼契約を行うことができます。
加害者側の損保会社も、法律上有効な形で示談交渉を進めて示談書を交わす必要があると判断して、後見人選任手続に入ってほしいと申し出たと思われます。

 

    後見人選任の手続は、通常、被害者の家族が家庭裁判所に後見開始申立をすることによってはじまります。加害者側や損保会社には申立を行う権限が与えられていませんので、あくまで被害者側で申し立てる必要があるのです。
家庭裁判所では、被害者本人の利益になるように行動することがもっとも期待される者(通常は被害者本人に近い家族の者)を、後見人に選任する決定を出します。

 

    なお例外的に成年後見選任手続をしないで済む場面の典型例を2つ紹介しておきます。
1、被害者が未成年のとき(親権者である父母がもともと法定代理人なので)。
2、自賠責保険に被害者請求だけするとき(被害者の家族が、問題が生じた場合には一切の責任を負うという念書を提出することで簡易に済ませる運用がなされています)。

 

    私が、遷延性意識障害や重度の高次脳機能障害事件において、交通事故被害の事件解決をご依頼いただくことになった場合には、被害者のご家族による成年後見開始申立についてもきちんとサポートさせていただきます、ご安心下さい。

 

    また、後見開始に要する手続費用は、交通事故に因果関係ある損害に該当し、加害者側に賠償請求することができます(大阪高裁平成21年9月11日自保ジ1801号2頁、東京地裁昭和56年11月26日交民集14巻6号1366頁、大分地裁平成6年9月14日交民集27巻5号1237頁、東京地裁平成16年12月21日交民集37巻6号1695頁)。

交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

お問い合わせリンク


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

tel-001