素因減額が問題とされやすい場面や斟酌される要素は?

素因減額が問題とされやすい場面や斟酌される要素は?

Question

交通事故の場合、素因減額はどんな場面で問題とされやすいのですか?
また、素因減額を適用するかどうかやその割合を検討する際は、どういう要素が斟酌されるのでしょうか?

Answer

一般に、以下のような場面で素因減額の主張がなされることが多いです。
ⅰ、事故前から既往症があった(かつ、既往症を裏づける通院歴や画像が残っている)。
ⅱ、事故の衝撃が比較的軽微、もしくは、他覚所見が乏しい軽傷であるのに、治療が長期化したり、または、時間の経過によって症状が重篤化したり、もしくは、不定愁訴を繰り返している。
専門用語でⅰを既往症減額・ⅱを心因性減額といいます。

どういう場面で素因減額を適用するかすべきではないのかの使い分けについては、別のQ&Aで今後説明させていただく予定ですが、いざ素因減額を適用する場合、どのような割合で適用するかについての数値基準は、過失相殺と異なり現在存在していません

    ただ、通常は次のファクターを総合して、裁判官が個々の事案でどのくらいは被害者に甘受してもらうのが公正だろうかというバランス感覚で決めているようです。

①事故態様と車両の損傷状況(軽微物損か否か)
②既往症の有無とその内容程度  (交通事故前から同一の症状が現れていたかとか、通院治療歴。さらに、事故からどのくらい遡った時期にどのくらいの期間の治療を受けていたか)
③当該交通外傷の治療に一般に要する平均治療期間と、実際の治療期間の対照
④通院の態度・転院の頻度・症状の経過・不定愁訴・日常生活における事故以外のストレス要因の有無など

    例えば、被害車両加害車両の双方とも目を凝らしてみないと一体どこが損傷したのかはっきりしない軽微物損で、事故の半年前から同じ神経症状の既往症のため通院加療を続けており、通常ならば3か月程度で治るところ2年以上も通院を継続しており止む気配がなく、その間、頻繁に転院を繰り返したり時間がたつにつれてかつては歩けていたのに今では車いす生活になってしまったなどの要素が重なったりすると、現在の症状や治療の長期化の主たる原因は、交通事故というよりむしろ事故前の既往症や被害者の精神面にあるのではないかと考えられ、大幅な素因減額がなされることがあります。

    実際、被害車両の後部バンパーに追突した車のネジ痕2個が少し凹損する程度の追突で、被害者が8カ月通院して両下肢麻痺の後遺障害が発生したと主張した案件で、被害者が事故発生から3か月の間にのべ10カ所以上の病院を受診したり、同じ日に2・3箇所の病院を受診したこともあったことなどから、被害者の両下肢麻痺は当該交通事故のみによって生じたものとは到底考えられないと、被害者の心因的素因が著しく寄与したものと認定して、90%もの素因減額を適用した裁判例もあるのです(名古屋地裁豊橋支部平成23年6月10日自保ジ1857号41頁)。

    とはいえ、明確な基準がない分、素因減額を巡っての攻防は、当該事案の特徴に加え、弁護士の実力差が比較的反映されやすい場面といえるでしょう

     交通事故(人身被害)に遭われてお困りのときは、お気軽に、豊富な解決実績を誇る、福岡の弁護士、菅藤浩三(かんとうこうぞう)にご相談ください。

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