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福岡県筑紫野市でバイクに運転中、交差点で右折進入してきた自動車に右横からぶつかられ、右膝外側側副靭帯を損傷する怪我を負い、病院に通院しています。
相手損保が病院に医療照会を行い、病院が回答書を作成して相手損保に交付したことがわかっています。回答書を私にも交付してほしいと申し出たところ、病院からも相手損保からも「被害者本人に渡す予定でつくったものではないから」と拒否されました。
私に関する情報を掲載している医療情報回答書なのですから、開示拒否は個人情報保護法に抵触するのではありませんか?
静岡地判2020/3/6自保ジ2074号168頁で争われました。被害者兼患者は、開示拒否は個人情報保護法28条違反、あるいは信義則上の開示義務違反だと主張し、開示拒絶による精神的苦痛を理由として病院そして相手損保にそれぞれ慰謝料支払いを求めました。
まず、相手損保に関する論点の理屈付けは次のとおりです。
第1、相手損保社内における当該回答書が含まれる事案フォルダは、交通事故の事案ごとに構成されていることから、社内において事案フォルダ自体は、交通事故の発生年月日や被害者氏名などにより検索可能と推測される。
しかしながら、事案フォルダには当該交通事故に関する書類が一括して入れられているところ、その書類中には当該回答書のみならずそれ以外の加害者に関するものその他様々な書類が混在していることが十分に想定できるため、本件交通事故の事案フォルダが容易に検索可能であるからといって、同フォルダ内の当該回答書に係る被害者の個人情報が容易に検索可能ということにはならない。
そして、本件交通事故に係る事案フォルダにおいて、当該回答書に係る被害者の個人情報が、一定の規則にしたがって整理することによりこれを容易に検索することができるように体系的に構築されていることを認めるに足りる証拠はない。
従って、当該回答書に係る被害者の情報は、個人情報を含む情報の集合物であって特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの(=個人情報保護法にいう個人情報データベースのこと)とは認められないから、相手損保は、当該回答書を被害者に開示しなくても、個人情報保護法28条に違反する開示義務違反にはあたらないとしました。
第2、当該回答書は、相手損保が被害者に対する損害賠償義務の有無を検討することを目的として、自ら作成費用を負担して病院に作成を依頼しこれに任意に病院が応じて作成した書類であって、被害者の診療のために作成されたものでも被害者の求めに応じて作成されたものでもない。
加えて、当該回答書は、被害者による自賠責への被害者請求に必須のものではなく、これを被害者に開示すれば、病院と被害者との信頼関係に悪影響を及ぼす事態も懸念され、損害保険会社のご有無の適正な遂行に支障をきたす可能性も否定できない。
従って、被害者から当該回答書の開示を求められた場合に、これに応じるべき信義則上の義務が損保会社にあるとはいえず、開示拒否の理由を説明すべき信義則上の義務もないので、たとえ病院が開示に同意していたとしても、相手損保から被害者にこれを開示すべき信義則上の義務が生じることにはならないとしました。
次に、病院に関する論点の理屈付けは次のとおりです。
第3、病院の事務担当の説明だと、診察に必要な診療録は電子カルテなので、患者ごとに診察券番号で管理されている半面、当該回答書や自賠責の診断書レセプトはあとあと何かあったときのためのものなので、診療録とは別に、他の患者の自賠責保険関係書類とともに時系列で綴っているということ。
その管理状況に照らせば、当該回答書は前記の個人情報保護法にいう個人情報データベースには該当しないから、病院は、当該回答書を被害者に開示しなくても、個人情報保護法28条に違反する開示義務違反にはならないとしました。
第4、患者が信義則上の開示義務の発生根拠として挙げる、厚労省の診療情報の提供などに関する指針や、日本医師会の診療情報の提供に関する指針が、たとえ医療機関に開示義務を課しているとしても、開示拒否が直ちに不法行為に該当するとはいえない。
また、当該回答書は、患者の診療のために作成されたものでも、患者の求めに応じて作成されたものでもなく、他方、被害者も自らの治療方針を決定するためでなく、本件交通事故に係る損害賠償請求のために、当該回答書の開示を求めたものである。従って、当該回答書は、患者との診療契約に基づいて作成されたものとは言い難く、病院が患者に対する診療契約上の説明義務を負うことをもって、直ちに当該回答書の開示義務が生じることにはならない。
ただし、患者から病院に対する慰謝料請求に関しては、実際のやりとりを踏まえたうえで、そのやりとりにもかかわらず開示を拒否したことについて、病院にのみ慰謝料支払いを命じました。
すなわち、病院は患者本人に意思確認ができることを条件として、病院から患者に当該回答書を交付することを電話で了承していました。
そのやりとりにおける了承は、患者との診療契約を前提としてなされたものであり、電話により患者の意思確認ができた暁には当該同意書を交付するという、診療契約に付随する信義則上の義務を病院は負ったというべきであり、にもかかわらず、原本を保有している相手損保から開示してもらうべきだと態度を翻意して患者からの当該回答書の開示要求を拒否してしまったことは、患者に対する契約不履行にあたるとして5万円の慰謝料支払義務を命じたのです。
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論文集の数行の記載から裁判例を探り出して、自己の主張の根拠づけに利用したことは何度あるかわかりません。